【Book Selection】新年を機に初心にかえる!

当社書籍の中から、新刊・既刊・古典にかかわらず、テーマにあったものをご紹介。

 

 

看護師になった時の気持ちを思いだしてみませんか。
先達が歩んできた道。看護師をめざす人へのメッセージ。
ぜひ読んでみてください。
新たな気持ちで仕事に取り組めることでしょう。

 

 

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地域ケアの今(51)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

自らの“老い”と折り合いをつける

文:鳥海房枝

 

第三者評価の利用者調査で高齢者ケア施設などを訪れた際には、事故・ヒヤリハット報告書の現物を見せてもらっています。介護保険サービスを提供する現場で事故が発生した場合は、保険者である市区町村に届け出ることが義務づけられています。ただし、報告する事故の範囲(内容)は保険者が定めており、保険者によって異っているのが実情です。中でも際立っている違いは、骨折をはじめとする外傷等(窒息等による死亡事故を含む)で入院や継続的な通院治療を要するなど、利用者の身体に影響があった場合に限定しているところや、無断外出・異食・誤薬等にまで報告を求める保険者まであることです。

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訪問看護ステーションの経営戦略(22)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

経営者ではない管理者が身につけるべき経営視点

渡邉 尚之

 

 

「経営者ではない管理者」という立場

 

訪問看護ステーションの管理者には経営的視点から大きく2つのタイプがあります。それは経営者と管理者が同一人物である場合と経営者と管理者が別人物である場合です。

 

看護師が株式会社などを設立して訪問看護ステーション事業を始めたケースでは、経営者(代表取締役)=管理者となることが一般的です。

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訪問看護ステーションの経営戦略(21)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

消費税引き上げと訪問看護ステーション経営

渡邉 尚之

 

 

今年10月1日に消費税が8%から10%に引き上げられたことに伴い、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が改定されました。それぞれの改定率は+0.41%・+0.39%・+0.44%です。

 

これまでにも消費税増税時にはこれらの報酬についてプラス改定が行われてきました。消費税と報酬改定の関係は、医療・介護業界において重要なテーマです。そこで今回は、報酬等と消費税の関係について解説します。

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アンガーマネジメント(8)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

権利・欲求・義務を区分して適切な対応を考える

光前 麻由美

 

 

今回は、これまで紹介してきたアンガーマネジメントのテクニックを看護実践の中で応用する方法について、訪問看護計画書に予定されていない頼みごとが増えた利用者への対応のケースを基に考えてみます。なお、事例はあくまでもアンガーマネジメントの観点から考えることを目的に状況設定しており、実際の在宅ケアの場面とは異なる部分がある可能性があります。ご了承ください。

 

先月号(「コミュニティケア」9月号)までに、私たちは「こうするべき(はず)」という理想と現実との間にギャップがあるときに怒りを感じることを説明しました。そして、その出来事は自分にとって許容できる範囲のものか、許容できない範囲のものかを三重丸による“「べき」の境界線”によって考えるテクニックを紹介しました。許容できる範囲にあることは自分にとって怒らなくてよい、こだわらなくてもよいことです。では、許容できない範囲のことに対してはどう対応すればよいのでしょうか。優先度や具体策を考えてみましょう。

 

依存的になった利用者Aさん

 

Aさんは80代の男性。妻と死別し、1人暮らしです。高血圧で内服治療をしています。以前は自転車で買い物に行くなど元気に生活していましたが、あるとき外出先で転倒し、左大腿骨頸部を骨折して手術を受けました。術後の経過は良好で、杖は必要なものの自分で歩行できるようになりましたが、正座できなくなったため、座卓からテーブルと椅子を利用する生活になりました。

 

Aさんには結婚して別世帯で暮らす娘が2人おり、隣の市に住む長女は時々Aさんの様子を見に訪れますが、仕事をしており頻繁には来られません。長女は高齢の父を心配し、退院後、一緒に住むことも提案しましたが、Aさんは「まだ娘に迷惑をかけたくない。もう少し住み慣れた自分の家にいたい」と希望しました。そこでケアマネジャーに相談し、訪問看護を導入することとなりました。

 

訪問看護は週1回、1回当たり30分で、訪問看護師は服薬の確認と入浴介助を行います。ある日、訪問看護師のBさんは、入浴介助後、Aさんに水分補給として冷蔵庫にあった麦茶を飲んでもらいました。飲み終わった後にコップを片づけようとしたところ、Aさんに「流しにあるほかのコップも洗ってほしい」と言われました。Bさんの働く訪問看護ステーションでは、約束事として、訪問時に使用した物は片づけますが、それ以外の物には触らないことになっています。ところが、それを断ろうとするとAさんの表情が険しくなりました。

 

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