基礎から学ぶ! 事例でわかる! 訪問看護ステーションの事業承継(18)

経営者の高齢化等により注目されている事業承継。成功させるにはいくつかのポイントがあります。本連載では、事業承継とは何か、事業承継の流れ・留意点などの基礎知識を解説し、実際の支援事例を紹介します。

 

 

 

訪問看護ステーションの事業評価
デューデリジェンスの重要性

 

坪田 康佑

つぼた こうすけ

訪問看護ステーション事業承継検討委員会

一般社団法人医療振興会代表理事

看護師/国会議員政策担当秘書

 

 

訪問看護ステーションの
過去と未来を評価する

 

「デューデリジェンス」(Due Diligence)とは、経営状況や財務状況を調査して企業を適正に評価することであり、一般的に買い手側が売り手に対して、専門家を介し実施するものです。過去・現在の評価に加え、事業の将来展望の分析も行います。

 

過去・現在の評価は、主に「財務」「税務」「債務」「法務」「人事」の観点から行われ、事業承継後に発覚する可能性のある問題を事前に把握し、抱えるリスクを最小限に抑えます。例えば、過去の不正請求や未払いの残業代などが後日明らかになった場合、その責任と財務的負担は新しい経営者に移ることになります。そのため、デューデリジェンスでは過去から現在に至る事業運営の適正性を綿密に調査します。

 

一方、将来展望の分析は「事業戦略」「オペレーション」「知的財産」などの側面から多角的に実施され、事業承継後の成長可能性や発展性を評価します。ここでは事業の収益力、人材の融和と活性化、知的財産の活用などが重点的に検討されます。また、承継先の既存事業とのシナジー効果が期待できるかどうかも重要な検討事項となります。

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〈新連載〉市民とともに歩むナースたち

〈新連載〉

 

「People-Centered Care(PCC)」とは、市民が主体となり保健医療専門職とパートナーを組み、個人や地域社会における健康課題の改善に取り組むことです。本連載では聖路加国際大学のPCC 事業の中で経験した「個人や地域社会における健康課題の改善」を紹介します。

 

射場 典子いば のりこ

聖路加国際大学PCC開発・地域連携室

 

中村 めぐみなかむら めぐみ

聖路加国際大学PCC開発・地域連携室

 


連載のはじめに

市民主体のケアにおける

看護職のありよう

 

 

市民が主体となるケアとは

 

聖路加国際大学では2003年よりピープル・センタード・ケア(PCC)という新たなケアの開発に取り組んでいます。

 

「医療の主人公は誰か?」そんな当たり前の問いからPCCの探求は始まりました。誰もが自分の人生の主人公であり、生活の主体であるにもかかわらず、医療の場では受け身となり、医療者がよかれと思う道筋へと進んでしまいがちなのはなぜでしょうか。

 

PCCのPは“Patient”ではなく、“People”であり、看護の対象を「患者」という医療の枠組みのみで捉えるのではなく、地域社会で暮らしている人(市民)と捉えます。そして、市民1人ひとりが医療者とパートナーを組み、自分自身や地域社会における健康課題の改善に向けて取り組むことが市民主体のケアと言えます。

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宮子あずさの気まぐれコラム(48)

精神科病院で働きながら、文筆活動を行う宮子あずささん。最近気になること、疑問に思うことなどを書きつづります

 

(48)定年を語れる幸せ

 

 

元同級生と働く

 

今働いている精神科病院には、別の病棟で中学時代の同級生が勤務しています。

 

30代で看護師となった彼女は、私と同じ看護専門学校の卒業生。今の病院に移ってきたのは、50代初めでした。

 

中学時代は顔見知り程度の付き合いだった私たちですが、看護師を志した際には、私が書いた本なども読んでくれたそうです。

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だから面白い訪問看護管理(24)〈最終回〉

大学教授から転身し「らふえる訪問看護ステーション」を開設。10年を経た今、訪問看護の未来を見すえて管理者としての思い・考えを語っていただきます。

 

(24)〈最終回〉

 

だから面白い訪問看護管理

 

林 啓子

株式会社らふえる 代表取締役
らふえる訪問看護ステーション 管理者
一般社団法人茨城県訪問看護事業協議会 会長

 

 

本連載もいよいよ最終回となりました。編集担当者からは「好きなように書いていい」と言われ、思いつくまま、自由に執筆してきましたが、私自身の訪問看護への思いをまとめる機会ともなりました。この連載の大きなテーマは「だから面白い訪問看護管理」ですが、果たして面白さを伝えることはできたでしょうか?

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看護職が辞めない組織をつくる!(24)〈最終回〉

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。

 

 

やりがいを共有できる組織

 

 

横山 郁子

よこやま いくこ

 

株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 顧問

 

 

本連載もいよいよ最終回です。そこで今回は、看護師という仕事を続けられる理由の1つである「看護のやりがい」を取り上げたいと思います。

 

訪問看護の仕事をしているとき、やりがいを感じるのはどのような場面でしょうか? 症状コントロールがうまくいったとき、看護師として困難な状況を乗り越えられたとき、他職種の人から感謝されたときなど、さまざまな瞬間があると思います。どんな仕事でもそうですが、やりがいを感じるとそれまで仕事に対するモチベーションが低下していても、一瞬にしてリフレッシュされます。そのとき、やりがいを共有できる仲間がそばにいれば、喜びも増します。

 

しかし、訪問看護師は基本的に1人で行動するので、自分が「よっしゃ!」と強くやりがいを感じた場面があっても、その場に同じ喜びを共有できる仲間がいないことが多いのです。1人で感じる喜びは、仲間と共有した喜びよりも比較的早く記憶から消えてしまいます。そのため、職員同士がやりがいを共有しながら、職員がこの職場で頑張っていきたいという気持ちになってくれるような仕組みを組織として構築すると、離職率低下につながると考えます。

 

本稿では、職員が感じたやりがいを仲間と共有する仕組みをつくるための3つのポイントをお伝えします。

 

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