医療行政なるほど塾

財務省が医療制度改革で考え方示す
診療報酬の地域別単価導入を提案

 

「社会保険旬報」編集部

 

 

財務省は、4月16日の財政制度等審議会財政制度分科会(十倉雅和分科会長)に、医療制度改革の考え方を示しました。診療所の偏在を是正するため、診療報酬の地域別単価を導入することや、費用対効果評価の結果を保険収載の可否の判断に用いることなどを提案しています。地域別単価導入に対しては、日本医師会の松本吉郎会長が反論しています。

 

●こども・高齢化をテーマに議論

 

4月16日の財政制度分科会は、「春の建議」の策定に向け「こども・高齢化」をテーマに議論。財務省は、少子化対策・医療・介護・年金を含め社会保障制度改革の考え方を説明しました。このうち、医療制度改革については、①質の高い医療の効率的な提供、②保険給付範囲の在り方の見直し、③高齢化・人口減少下での負担の公平化の3本柱で、改革項目を示しています。

 

「質の高い医療の効率的な提供」では、公的価格(診療報酬・薬価)の適正化、費用対効果評価、医師偏在対策、地域医療構想、経営情報の見える化などについて改革の方向性を示しています。

 

→続きは本誌で(看護2024年7月号)

 

GRAPH WHO西太平洋地域事務局への出向を終えて

 

日本看護協会 看護開発部

安西 恵梨子

 

 

2022年6月から2年間、日本看護協会より世界保健機関(以下:WHO)西太平洋地域事務局に出向した安西恵梨子さん。WHOにおける活動内容や自身の役割を振り返るとともに、実施した主な取り組みの成果などについて述べてもらいました。

 

日本看護協会(以下:本会)で看護師の業務や教育に関する政策提言などに携わった後、2022年6月から2年間、WHO西太平洋地域事務局(Western Pacific Regional Office:WPRO)に出向となった。この出向は、WPROに長らく看護を担当するポストがなく、看護に焦点を当てた活動が行われてこなかったため、出向者の派遣を通じて、この地域の看護のさらなる発展に寄与することを目的としていた。

 

わずか2年間でWHOという未知の世界で何ができるのか、不安ばかりが膨らんでのスタートだったが、多くの方々の協力を得て「保健医療人材」に埋もれていた「看護師」に焦点を当て、看護がWPROにおいても強化に取り組むべき重要な領域であることを示し、今後の看護に関する活動基盤を構築することができた。後述するNursing Officerとしての実績が評価され、WPROに正規の「Nursing Officer」のポストが創設されるに至った。

 

→続きは本誌で(看護2024年7月号)

 

【Book Selection】新刊書籍のご紹介

続きを読む…

折々のはなし㉕

教育現場の立場から角田直枝さん、在宅現場の立場から大槻恭子さん、福祉現場の立場から鳥海房枝さんに、日々考えていること・
気になっていること・感じていることなどを述べていただく私的エッセイ。

 

 

角田 直枝

かくた なおえ

常磐大学大学院看護学研究科

 

病院・訪問看護ステーション勤務をはじめ、日本訪問看護振興財団の認定看護師教育課程訪問看護学科などで教育に携わる。2010年より茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター看護局長を12年間勤め、2022年3月に退職。同年4月より現職。がん看護専門看護師、特定行為研修修了者。

 


 

人生100年時代版発達課題

 

4月に入学した学生たちも、だんだんと落ち着いてきたこの時期。学部の1年生は最初の実習を終え、看護の扉を開いたばかりです。初めての実習では、自分のイメージよりも看護師という職業の活躍の場が幅広いことを学び、目がキラキラとしてきます。一方、4年生はつらそうな顔をした学生が増えてきます。その理由の1つが就職試験の変化によるものです。

 

 

看護学生の就職戦線に変化?

 

ここ数年、就職試験の様相がだいぶ変わってきました。変化の1つは、就職試験時期の前倒しです。最近では、3月1日から就職試験の申し込みが始まる病院も複数あります。本学では3年生の2月ぎりぎりまで実習があるので、試験の受付が早い病院を選ぶ学生は、実習が終わるや否や、3年生のうちからエントリーシートの作成に取りかからなければなりません。4年生の6月には、3人に1人くらいの学生が、すでに内定をもらっています。

 

続きを読む…

行動変容をそっと促す ナッジを使ったアプローチ㉕

ナッジとは、人の心理特性に沿って望ましい行動へと促す設計のこと。ゲストスピーカー・医療職のタマゴたちとともに、看護・介護に役立つヒントを示します。

 

 

 

ナッジで睡眠時間の確保は難しい?

 

竹林 正樹

たけばやし まさき

青森大学 客員教授/行動経済学研究者

 

石田 陽子先生

いしだ ようこ

株式会社心陽CEO
本郷睡眠センター心陽クリニック院長

 

●●●

 

医療職のタマゴたちが交代でナッジを学びます。

金田 侑大さん

城戸 初音さん

難波 美羅さん

 

 

なかなか手放せない夜のスマホ

 

竹林 前回に引き続き、心陽クリニック(東京都文京区)で睡眠外来をしている石田陽子先生にお越しいただきました。

石田 よろしくお願いします。

金田 こちらこそ、お願いします! まずお聞きしたいのは、睡眠時間の確保に役立つようなナッジはあるのでしょうか?
石田 生活習慣へのナッジに関する系統的レビューでは、睡眠に関するナッジの研究は極端に少ない1)と報告されています。つまり、世界中の研究者の間でも「睡眠とナッジ」については苦戦していることが推察されます。ですが、課題を細分化していけばその切り口は見えてきます。
金田 それなら……、「なんとなく夜更かししてしまう人たち」ではどうでしょうか。

続きを読む…