訪問看護ステーションの経営戦略(20)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

 

紹介手数料が
経営に与える影響

渡邉 尚之

 

 

訪問看護ステーションの
スタッフ採用事情

 

訪問看護ステーションは慢性的な人材難です。看護職を採用しようとハローワークや新聞広告に求人情報を出してもなかなか応募がないというステーションも多いのではないでしょうか。

訪問看護ステーションの採用戦略には、上記以外に自ステーションのウェブサイトへの採用ページの開設や、給与体系の充実、勤務時間の柔軟化、さらには新卒採用を見込んだ看護学校への訪問や実習生の受け入れ、スタッフや知人の紹介に頼るなど、さまざまな方法が考えられます。また金銭的なインセンティブを設けるステーションもあります。私の知る中では、入職祝金の支給や、ステーションスタッフが知人の看護職を紹介した場合にそのスタッフへの謝礼金と入職者への祝金を支給しているケースなどがあります。

 

 

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アンガーマネジメント(7)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

 

行動のコントロール

光前 麻由美

 

 

 

看護や介護は、患者・利用者の生活に密接しているだけでなく、場合によっては人の命にかかわる仕事です。そのため、本人や家族の思いを尊重しつつも、安全で安心できる療養環境を整えることが重要です。とはいえ、在宅では医療機関のようには療養環境が整っていないことが多く、看護職の理想どおりにはいかないのが現実です。また、患者・利用者や家族に医療・介護の専門知識がなく、ケアの重要性や必要性を理解していないこともあります。そのため看護や介護を提供する側と提供される側の認識のズレから、怒りを感じる場面も少なくないでしょう。

 

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アンガーマネジメント(6)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

 

思考のコントロールと“3つの努力”
光前 麻由美

 

 

 

許容範囲を拡大・明確化する

 

先月号(「コミュニティケア」2019年8月号)では、三重丸(図1)を用いて“「べき」の境界線”について考えました。

アンガーマネジメントは怒りで後悔しないことをめざします。自分が何は許せて、何は許せないのかを三重丸に沿って考え、怒るべきことと怒らないことを区別できるようになったら、さらに次の3つの努力をしてみましょう。
❶ ②を広げる
❷ ②と③の境界線を安定させる
❸ ②と③の境界線を他人に見せる

 

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訪問看護ステーションの経営戦略(19)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

人件費率から
目標売上高を検討しよう

渡邉 尚之

 

 

訪問看護の費用の大半は人件費

 

厚生労働省によると、訪問看護ステーションの収入に対する給与費(給与・賞与・法定福利費等の合計、以下:人件費)の割合は73.1〜83.8%です(表1)1)。人件費率(%)は「人件費/売上高×100」の式で算出します。

 

訪問看護ステーションに限らず、経営では事業存続のために利益を確保することが大切です。利益(黒字)とは訪問看護収入等の収益から人件費等の費用を差し引いた結果がプラスの状態です(収益-費用>0)。逆に損失(赤字)とは、この結果がマイナスの状態です(収益-費用<0)。

 

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訪問看護ステーションの経営戦略(18)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

管理者の訪問回数を
ゼロにする売上高とは

渡邉 尚之

 

皆さんは訪問看護ステーション管理者の理想の訪問回数は何回だと考えていますか。管理者なのだから率先してほかのスタッフより多く訪問するべきだと思いますか、それとも請求業務や書類作成業務が多いため、訪問回数を少なくすべきだと考えますか?

 

管理者の理想の訪問回数は0回

今回は訪問看護ステーションの管理者の訪問回数について、経営の観点から考察します。

 

筆者が考える訪問看護ステーションの管理者の理想の訪問回数は0回です。なぜなら、管理者の役割は管理(マネジメント)だからです。

 

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