【SPECIAL BOOK GUIDE】看護管理学習テキスト 第4版 2026年版』[全5 巻+別巻]

 


看護管理者に必要な知識と視点を網羅したバイブルが

2026年2月に全巻同時改訂!


『看護管理学習テキスト』は、日本看護協会の認定看護管理者教育課程を参照した標準テキストとして2003 年に誕生しました。学習テーマ別に「概要」「論点」「討論」を提示し、問題意識・対応能力の養成につながる構成としている点が特長です。

 

初版刊行後は毎年、数値データや法律・基準の改正等に伴う記述の更新を行い、認定看護管理者カリキュラム基準の改正に沿うかたちで改訂を重ねてきました。このたび第4 版では、全5 巻で取り扱う「論点」を統廃合し、最新の情報・知見や法制度、社会の動きに基づいて、研究者や現役の看護管理者が実践的に解説しています。

 

第1巻「保健医療福祉制度・政策論」では、わが国の社会保障制度や保健医療福祉制度の変遷、政策の動向をふまえ、地域のヘルスケアサービスに貢献するために必要な自施設の機能・役割と多組織との連携、看護管理者の役割等のほか、グローバルヘルス政策とその展望等を詳述しています。

 

第2巻「看護サービスの質管理」では、看護サービスの本質を問いながら、看護の成果や質の保証・改善につながる看護管理の基本的な知識と考え方を紹介。目標管理やBSC といった経営視点から、質評価、患者安全、研究の推進までを体系的に述べています。

 

第3巻「人材管理論」では、専門職としてのキャリア発達・開発をふまえて、人材育成や教育に関する諸理論を実践に結びつけて解説し、人事システムや賃金制度・体系の知識、労務管理に必須の法律について詳述しています。

 

第4巻「組織管理論」では、主要理論に基づき、組織の成り立ち・構造、組織分析・開発、組織文化、組織変革、組織倫理を展開。保健医療福祉サービス提供のあり方や、病院組織における看護管理、新興感染症を含む災害管理も解説しています。

 

第5巻「経営資源管理論」では、経済・経営およびサービス、マーケティングの基本的知識を解説したうえで、組織管理に不可欠なヒト・モノ・カネ・情報を軸に、限られた資源を活用し、効果的・効率的にケアを実践するために必須の知識を整理しています。

 

別巻「看護管理基本資料集」は、看護に関する基本文書と、看護管理に欠かせない重要法令・公的文書を満載したコンパクトなアーカイブであり、管理業務を法令面からサポートしています。

 


Data

井部俊子・秋山智弥 監修
日本看護協会出版会(Tel.03-5319-8018)

 

★看護管理学習テキスト 第4版特設サイト

 

 

続きを読む…


【SPECIAL BOOK GUIDE】看護実践につなげる 15分からのミニ勉強会

 


小集団だからこそできる「等身大の学び」を!


 

何のための研修なのか?

 

院内研修のための資料作りや事後のレポート提出、外部研修受講後の伝達講習など、がんばってはみたものの、息切れしてしまったことはないですか?

 

本書でご紹介する「ミニ勉強会」とは、大掛かりな準備はなし、15分から始められて、身近なテーマで、看護師たちが自分の言葉で語り、回数を重ねることで学びを定着させようというもの。

 

著者自身が、試行錯誤を繰り返しながら仲間と見つけた、学びのあり方の1つです。皆さんへの最大のメッセージは、「とにかく一歩、踏み出してみよう!」ということ。特に中小規模病院や訪問看護ステーション、高齢者施設などでは、「研修はこうであらねば」という縛りから自由になって、小集団ならではの「等身大の学び」が可能となります。

続きを読む…


N.Focus ディーセント・ワークとジョブ・クラフティング 小さな工夫で生き生きと働ける職場へ




ディーセント・ワークとジョブ・クラフティング

小さな工夫で生き生きと働ける職場へ

 


山住 康恵●やまずみ やすえ

共立女子大学看護学部 准教授

 

[略歴]1994年より福岡県内の総合病院で勤務、2009年福岡県立大学看護学部助手、2012年同学部助教、2013年防衛医科大学校医学教育部看護学科講師、2016年共立女子大学看護学部専任講師を経て、2019年より現職。専門は看護管理、看護教育。

 


 

日々の業務に追われて見失った仕事のやりがいを、どう取り戻せばよいのか。働きがいを持って働くための視点として、「ディーセント・ワーク」と「ジョブ・クラフティング」の考え方を、実践例とともに紹介します。

続きを読む…


【Book Selection】新刊書籍のご紹介


続きを読む…


〈新連載〉わたしの推し本(1)


第 1 回『新装版 嘘の効用』

 

著者:末弘 嚴太郎 価格:2,640円(税込み) 発行:日本評論社

 


今月の推し人

 

任 和子

京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻 先端中核看護学講座生活習慣病看護学分野 教授

 


 

正論の板挟みに遭い、組織の硬直化にため息をついたことのない管理者はいないだろう。私は2011年から京都大学大学院で教授を務めているが、それ以前は京都大学医学部附属病院で副看護部長・看護部長を計6年間経験した。大きな組織のかじ取りを担う中で実感したのは、マニュアルや正論といった定規だけではかりきれない、人と人とが織りなす現場の奥深さと、それを整えることの難しさであった。そうした管理職としての私の長年の葛藤を、静かに言語化してくれたのが本書に収められた随筆「嘘の効用」である。

 

社会を回す“ゆとり”としての知恵

著者の末弘嚴太郎氏は、大正から昭和にかけて活躍した法学者である。本書で彼は、一般に悪とされる嘘が、実は法律や社会を円滑に動かすための重要な擬制(フィクション)や潤滑油として機能していることをユーモアたっぷりに論じている。

 

正直は美徳だが、実態に即さない厳格なルールを現場に強いれば、スタッフの自律性は失われ、結果として組織の活力を削ぐ。硬直した法律(ルール)と、変化し続ける複雑な人間社会。その間にあるギャップを埋めるためには、機械の「遊び」に相当する、適度な“ゆとり”が必要なのだ。

 

本書に出合ったのは、新装版が出版されたころであった★1。管理職時代から抱えていた後ろめたさの正体が解き明かされたように感じた。例えば、スタッフAがBの「言い方のきつさ」に悩み、一方でBはAの「仕事の雑さ」にいら立っているとする。管理者は両者の思いを受け止め、組織としての調和を保つために、対話を重ね、着地点を探る。こうした振る舞いは決して八方美人的な態度ではなく、相反する要素が絡み合う連立方程式を解くような、高度な知的作業なのである。

 

組織を救う「伸縮する尺度」

末弘氏が説く「規則的に伸縮する尺度」という考え方は、建前に縛られがちな組織を救う示唆に富む。医療現場において、安全を守るマニュアルは不可欠だが、それが現場の状況を無視した守れないルールの押しつけになってはいないだろうか。

 

末弘氏は「子どもに嘘つきが多いのは、親が頑迷な証拠」と述べている。これは、原因をスタッフ個人の資質に求めるのではなく、組織のルールの「硬さ」に目を向けてみようという、管理者への示唆に富んだ提言である。管理者の役割は、正論を振りかざすことではない。ルールやマニュアルという公平な尺度を持ちつつ、状況に応じて納得感のある“伸縮”をさせていくことだ。管理者が遊びを認め、現実的な解を見いだすその柔軟性が、スタッフが安心して誠実に働ける環境をつくる。

 

組織の壁に突き当たり、閉塞感を覚えたとき、ぜひこの古くて新しい名著を開いてほしい。そこには、しなやかに組織を導き、管理者をやさしく包んでくれる、自由で温かな知恵が詰まっている。

 

1 本書1980 年刊『末弘著作集Ⅳ』 底本とし、新装版として 2018 刊行された

 

→看護2026年3月号掲載