訪問看護ステーションの経営戦略(26)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

居宅介護支援事業所の併設

渡邉 尚之

 

訪問看護ステーションの経営者の中には、自ステーションになんらかの関連事業所の併設を検討したことのある人もいるでしょう。例えば居宅介護支援事業所や訪問介護事業所、看護小規模多機能型居宅介護事業所などです。

そこで今回は、訪問看護ステーションが居宅介護支援事業所を併設した場合のメリットやデメリット、採算性などについて考えます。同事業所の開設を検討しているステーションはもちろん、すでに併設しているステーションにも、採算性などを再検討する機会となれば幸いです。

 

 

単体事業としては多くが不採算

 

現在、居宅介護支援事業所を併設している訪問看護ステーションは多くあります。そもそも居宅介護支援事業所が単体で設置されているケースは全体の1割程度と言われており、ほとんどは併設事業として行われているのが実情です。公平・中立が原則である居宅介護支援事業の大半が併設事業として営まれていることに違和感を抱く人もいるかもしれませんが、単独で運営する法人が少ない最大の理由は、採算がとれないからです。居宅介護支援事業所の人員基準は常勤専従のケアマネジャー1人で、訪問看護ステーションのように常勤専従の管理者1人、常勤換算2.5人の人員配置といった厳しい要件はありません。開設の難易度は低いにもかかわらず多くが併設型であることからも、採算性の厳しさが推測されます。

 

実際、「令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要」1)によると、2018年度決算の収支差率は、22種類の介護サービスのうち居宅介護支援のみがマイナス(−0.1%)でした(表1)。収支差率は「(介護サービスの収益額-介護サービスの費用額)÷介護サービスの収益額」で算出します。なお、訪問看護は+4.2%です。

 

さらに、同調査結果の収入に対する給与費の割合に着目すると、居宅介護支援事業所の経営の困難さがいっそう浮き彫りになります。

 

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年4月号)