本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。
井部俊子さんから川越博美さんへの手紙
賢い消費者を増やそう
文:井部俊子
この記事が読まれるころには、2017年ももう最初の1カ月が終わっているでしょう。どうしてこんなに早く時が過ぎていくのでしょうか。と、ここまで書いて、そういえば以前に『なぜ年をとると時間の経つのが速くなるか 記憶と時間の心理学』(ダウエ・ドラーイスマ, 鈴木晶訳, 講談社, 2009.)という本を購入したことを思い出し、本棚から取り出して開いてみました。
フランスの心理学者ピエール・ジャネは、1877年に1年の見せかけの長さはその人の人生の長さと関係があると提唱しました。つまり10歳の子は1年をこれまでの人生の10分の1として経験し、50歳の人は50分の1として経験するというのです。