アンガーマネジメント(10)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

相手に伝わりやすい上手な怒り方②

光前 麻由美

 

 

前回(2019年12月号)は、怒るときのNGワードについて解説しました。今回はその続きとして、怒る(叱る)ときに避けたいNGな態度を紹介します。

 

怒る際のNGな態度

 

①怒る状況・基準が一定でない
怒る基準が決まっていないことは望ましくありません。同じ出来事に対して、タイミングや相手によって怒る場合と怒らない場合があると、相手はしてはいけないことの基準がわかりません。それどころか「この前は怒られなかったのに、今日は怒られた。きっと機嫌が悪いのだ」「Aさんには何も言わないのに、私には怒る。私のことが嫌いなのかもしれない」などと受け取られ、信頼関係が損なわれることにもなりかねません。怒ることの本来の目的はリクエストです。態度が一貫していないと本意が伝わりにくくなるので、機嫌や状況ではなくルールに基づいて怒ることが大切です。

 

また、そのためには、「思考のコントロール」(2019年8・9月号)で紹介した三重丸による“「べき」の境界線”を明確にする必要があります。何は許せて何は許せないのか、どこまでは怒らないがどうなったら怒るのか、といった基準を意識しましょう。

 

ここで気をつけたいのは、自分の考える“普通”“当たり前”と相手(他人)の“普通”“当たり前”は一緒だとは限らないという点です。例えば「時間を守る」ということについても、「5分前集合が常識」「集合時間ジャストならOK」など、その程度は人により異なります。職場全体で共通認識を持つことが望ましいものについては、「ミーティングは5分前に集合」「時間に間に合わないときは電話で連絡する」など、明確なルールによって「べき」の境界線をすり合わせます。
いつでも、誰に対しても一貫性を持った態度を示すと、信頼感が高まり、怒られる側も正当性を感じやすいです。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年1月号)