【Book Selection】新刊書籍のご紹介
看護職に選ばれる病院・施設(18)
各都道府県ナースセンターが病院や施設向けに実施している定着・促進事業の中で得られた「看護職に選ばれる病院・施設」になるためのポイントや、具体例を紹介します!
vol.18 大分県ナースセンターからの提案!
求職者一人ひとりの状況に合わせた
柔軟な対応と支援を!
玉井 保子
大分県看護協会 副会長
大分県ナースセンター ナースセンター長
本稿では新規事業として取り組んだ「看護師等再就職おうえん事業」について報告。さらに、支援の中で見いだされた選ばれる病院・施設の特徴を解説し、看護管理者が実践すべきことを提言します。
大分県の現状
大分県の総人口は、2022年の約110万人から2035年には約89万人まで減少し、高齢化率は33.9%から39.3%に増加すると推計されています。人口減少や高齢化が進む中、今後看護職をどう確保していくかは大きな課題となっています。
2022年度の看護職数は約2万1,000人で、人口10万人当たりの看護職数は全国7位と高い水準にありますが、県庁所在地の大分市や隣接する別府市に偏在しており、それ以外の医療圏との差が顕著です。また、中小規模病院が多く、人口10万人当たりの病院病床数は全国7位(2023年度)と多いことから、各医療圏とも看護職の充足率が低く、不足感が強くなっていると考えられます。
医療行政なるほど塾
2040年に向けた医療提供体制の改革案を示す
通常国会に関連法案を提出へ
「社会保険旬報」編集部
厚生労働省は2024年12月25日、社会保障審議会医療部会がまとめた「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」を公表しました。「新たな地域医療構想」「医師偏在対策」「医療DXの推進」「美容医療への対応」「オンライン診療の推進」を盛り込み、2040年以降もすべての地域・すべての世代の患者が適切な医療・介護を受けることができる医療提供体制の整備をめざしています(図表1)。医療部会の意見を踏まえ、厚生労働省は、医療法等改正案を通常国会に提出する考えです。
●人口構成の変化に対応した医療提供体制
医療部会は、医療提供体制に関するこれまでの議論を踏まえ、通常国会に提出する法案に盛り込むべき内容をまとめました。新たな地域医療構想と医師偏在対策については「新たな地域医療構想に関する検討会」、美容医療については「美容医療の適切な提供に関する検討会」の検討結果を添付しています。
医療部会の意見は、冒頭で改革が求められる背景を説明しています。85歳以上を中心に高齢者数が2040年ごろまで増加し、高齢者の救急搬送も増加して、在宅医療の需要も増えると予測。生産年齢人口はすべての地域で減少しますが、高齢人口は大都市部で増加する一方、過疎地で減少し、地域格差が拡大して地域に求められる医療提供体制は異なったものになると指摘しています。
N.Focus 病院の看護師と地域の資源が つながることの成果
病院の看護師と地域の資源がつながることの成果
福井 トシ子 ● ふくい としこ★1
国際医療福祉大学大学院 副大学院長
公益社団法人日本看護協会 前会長
平野 一美 ● ひらの かずみ★2
医療法人弘遠会すずかけヘルスケアホスピタル 看護部長
★1 福井トシ子。2017年から日本看護協会会長を3期6年務め、2023年6月より現職。2024年4月に日本で3校目となるDNPコースを開講する。経営情報学修士、保健医療学博士。
★2 平野一美。2012年に磐田市立総合病院の副院長兼看護部長、2017年に藤枝市立総合病院の副院長兼看護部長に着任。2021年4月から現職。認定看護管理者。
地域の看護管理者との連携の重要性は誰もが理解しているものの、実際にはうまくいかないケースが少なくありません。本稿では、平野一美さんが実践した「磐田市・森町の病院・訪問看護ステーションの看護代表者がつながる会」ならびに「藤の花かんかんネット」の事例から、施設を超えた看看連携の実現のヒントを紐解きます。
市民とともに歩むナースたち(3)
「People-Centered Care(PCC)」とは、市民が主体となり保健医療専門職とパートナーを組み、個人や地域社会における健康課題の改善に取り組むことです。本連載では聖路加国際大学のPCC 事業の中で経験した「個人や地域社会における健康課題の改善」を紹介します。
菱沼 典子●ひしぬま みちこ
NPO法人からだフシギ 理事長
NPO法人「からだフシギ」
からだの知識をみんなのものに
あなたの健康はあなたのもの
人は具合が悪くなったときに、まず「寝て治す」「市販薬で治す」などを試みます。それでも治らなければ、かかりつけ医のところへ行くでしょう。そして自らの健康課題を解決するため、さらに紹介された医療機関を受診するかもしれません。
しかし、そこで診察室に入った途端、主人公の座を医療職に奪われた……。そんなふうに感じてしまったことはないでしょうか。
私たち「NPO法人からだフシギ」の活動は、この違和感への疑問から始まりました。なぜ人は、患者となった途端、自らの健康に関する決定権を手放さざるを得ないと感じるのでしょうか。