医療安全トピックス vol.173

 

■VOL.173

吉田 ちひろ

日本看護協会看護開発部看護業務・医療安全課

 

医療安全の確保・推進に向けた

2025年度の日本看護協会の取り組みについて

 

日本看護協会は、看護が提供されるあらゆる場での安全の確保と推進をめざして、事故の未然防止・再発防止の視点で医療安全事業の取り組みを進めています。本稿では、2024年度の主な取り組みを踏まえ、2025年度の医療安全事業を概観します。

 

●2024年度の取り組みの概要について

2024年度は、事故の未然防止、再発防止に向けた取り組みを中心に行いました。

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看護職に選ばれる病院・施設(18)

各都道府県ナースセンターが病院や施設向けに実施している定着・促進事業の中で得られた「看護職に選ばれる病院・施設」になるためのポイントや、具体例を紹介します!

 

 

vol.18 大分県ナースセンターからの提案!

求職者一人ひとりの状況に合わせた

柔軟な対応と支援を!

 

玉井 保子

大分県看護協会 副会長

大分県ナースセンター ナースセンター長

 

本稿では新規事業として取り組んだ「看護師等再就職おうえん事業」について報告。さらに、支援の中で見いだされた選ばれる病院・施設の特徴を解説し、看護管理者が実践すべきことを提言します。

 

大分県の現状

 

大分県の総人口は、2022年の約110万人から2035年には約89万人まで減少し、高齢化率は33.9%から39.3%に増加すると推計されています。人口減少や高齢化が進む中、今後看護職をどう確保していくかは大きな課題となっています。

 

2022年度の看護職数は約2万1,000人で、人口10万人当たりの看護職数は全国7位と高い水準にありますが、県庁所在地の大分市や隣接する別府市に偏在しており、それ以外の医療圏との差が顕著です。また、中小規模病院が多く、人口10万人当たりの病院病床数は全国7位(2023年度)と多いことから、各医療圏とも看護職の充足率が低く、不足感が強くなっていると考えられます。

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市民とともに歩むナースたち(3)

 

「People-Centered Care(PCC)」とは、市民が主体となり保健医療専門職とパートナーを組み、個人や地域社会における健康課題の改善に取り組むことです。本連載では聖路加国際大学のPCC 事業の中で経験した「個人や地域社会における健康課題の改善」を紹介します。

 

菱沼 典子ひしぬま みちこ

NPO法人からだフシギ 理事長

 


NPO法人「からだフシギ」

からだの知識をみんなのものに

 

 

あなたの健康はあなたのもの

 

人は具合が悪くなったときに、まず「寝て治す」「市販薬で治す」などを試みます。それでも治らなければ、かかりつけ医のところへ行くでしょう。そして自らの健康課題を解決するため、さらに紹介された医療機関を受診するかもしれません。

 

しかし、そこで診察室に入った途端、主人公の座を医療職に奪われた……。そんなふうに感じてしまったことはないでしょうか。

 

私たち「NPO法人からだフシギ」の活動は、この違和感への疑問から始まりました。なぜ人は、患者となった途端、自らの健康に関する決定権を手放さざるを得ないと感じるのでしょうか。

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基礎から学ぶ! 事例でわかる! 訪問看護ステーションの事業承継(20)

経営者の高齢化等により注目されている事業承継。成功させるにはいくつかのポイントがあります。本連載では、事業承継とは何か、事業承継の流れ・留意点などの基礎知識を解説し、実際の支援事例を紹介します。

 

事業承継における支援施策

 

坪田 康佑

つぼた こうすけ

訪問看護ステーション事業承継検討委員会

一般社団法人医療振興会代表理事

看護師/国会議員政策担当秘書

 

事業承継のプロセスには、法的な手続きや経済的な負担、さらには人的な調整など、さまざまな課題が伴います。日本では、これらを解決し、事業を円滑に承継するための支援策が公的に用意されています。

 

経済産業省中小企業庁では、事業が途絶えることなく継続できるよう、補助金や助成金、税制優遇といった多様な支援策を提供しており、訪問看護ステーションのような中小規模の事業者にとって、大きな助けとなるものです。2024年末に発表された令和6年度補正予算案では、事業承継・M&A補助金をはじめとする関連予算が大幅に増額されました。このことから、経済産業省が事業承継の重要性を強く認識し、積極的に支援を行っていることがうかがえます。経営者は事業承継を進める中で直面するさまざまな課題や問題を一人で抱え込まず、積極的に活用していくことが重要です。

 

また、訪問看護事業の承継は、地域の利用者にも大きな影響を与える重要な課題です。事業運営が途絶えずに継続されることで、利用者はそれまでと変わらず安心してサービスを受けられます。

 

今回は、経済産業省中小企業庁が提供する支援策とその活用の仕方を中心に紹介します。

 

事業承継の相談・伴走

 

2021年4月、全国47都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置されました。同支援センターでは事業承継計画の策定支援を通じて、スムーズに事業承継のプロセスを進めるためのアドバイスを受けることができます。また、M&Aマッチングの支援も行っており、事業を引き継ぎたい企業と引き受けたい企業を結び付け、適切な相手を見つけるサポートも提供しています。従業員への事業の引き継ぎに際しても、具体的なアドバイスを受けられるのが特徴です。

 

以前、筆者が遠方に住む経営者から事業承継の相談を受けた際に地元の事業承継支援センターを紹介しました。しかし、当時まだ設立されたばかりだったためか、「医療に関する事業承継の経験がない」との理由で相談を断られ、別のM&A仲介事業者を紹介されたというケースがありました。

 

支援センターの設置からまだ年数が経ってない現在では、そうした課題があることも考慮しつつ、上手に活用する必要があるでしょう。

 

続きは本誌で(コミュニティケア2025年3月号)