「People-Centered Care(PCC)」とは、市民が主体となり保健医療専門職とパートナーを組み、個人や地域社会における健康課題の改善に取り組むことです。本連載では聖路加国際大学のPCC 事業の中で経験した「個人や地域社会における健康課題の改善」を紹介します。
菱沼 典子●ひしぬま みちこ
NPO法人からだフシギ 理事長
NPO法人「からだフシギ」
からだの知識をみんなのものに
あなたの健康はあなたのもの
人は具合が悪くなったときに、まず「寝て治す」「市販薬で治す」などを試みます。それでも治らなければ、かかりつけ医のところへ行くでしょう。そして自らの健康課題を解決するため、さらに紹介された医療機関を受診するかもしれません。
しかし、そこで診察室に入った途端、主人公の座を医療職に奪われた……。そんなふうに感じてしまったことはないでしょうか。
私たち「NPO法人からだフシギ」の活動は、この違和感への疑問から始まりました。なぜ人は、患者となった途端、自らの健康に関する決定権を手放さざるを得ないと感じるのでしょうか。