折々のはなし

教育現場の立場から角田直枝さん、在宅現場の立場から大槻恭子さん、福祉現場の立場から鳥海房枝さんに、日々考えていること・
気になっていること・感じていることなどを述べていただく私的エッセイ。

 

 

角田 直枝

かくた なおえ

常磐大学大学院看護学研究科

 

病院・訪問看護ステーション勤務をはじめ、日本訪問看護振興財団の認定看護師教育課程訪問看護学科などで教育に携わる。2010年より茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター看護局長を12年間勤め、2022年3月に退職。同年4月より現職。がん看護専門看護師、特定行為研修修了者。

 


 

基礎教育と臨床がつながる教育とは

 

今年の夏は、全国で大変な暑さになりました。猛暑に加えて雨が少ない地域では農業に、そして海水温の上昇によって漁業にも影響が出ています。これからの冬、春以降、この先の気候変動への不安も大きくなっていますね。そのような中でも、人々の生活はコロナ禍以前の状態に戻ってきており、買い物や外食、旅行、そして現地での学会参加などが活発になっています。

 

教員の喜びと学生の戸惑い

 

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に変更されたことで、看護学生の実習も少しずつ、以前とは変わってきています。具体的には次のような変化です。

 

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基礎から学ぶ! 事例でわかる! 訪問看護ステーションの事業承継

経営者の高齢化等により注目されている事業承継。成功させるにはいくつかのポイントがあります。本連載では、事業承継とは何か、事業承継の流れ・留意点などの基礎知識を解説し、実際の支援事例を紹介します。

 

 

 

事業承継は、経営承継と資産承継

 

坪田 康佑

つぼた こうすけ

訪問看護ステーション事業承継検討委員会

一般社団法人医療振興会 代表理事

看護師/国会議員政策担当秘書

 

 

本連載では、訪問看護管理者および経営者に訪問看護事業の事業承継を知ってもらうために、マクロデータやガイドライン1)、事例などを基に、事業承継について多様な視点から解説しています。

 

前々号・前号では2回にわたって、事業承継の全体像を5つのステップに分けて紹介しました。全体像を把握しておくと、日常業務の延長でできる準備や、めざす経営状況などがわかるため、業務の重複や無駄を減らし、効率的に事業承継に取り組めるようになります。

 

今回は、事業承継の2つのカテゴリーである「経営の引き継ぎ」と「資産の引き継ぎ」について解説します。

 

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スペシャリストの実践知(37)

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

(37)呼吸器疾患

 

日常生活動作に伴う呼吸状態の変化を把握、

適切な在宅酸素療法を支援:中野 かおり

 

 

群馬県看護協会は、県内6カ所に訪問看護ステーションを有し、小児疾患、難病、終末期といった医療依存度の高い利用者を広く受け入れています。前橋市にある当ステーションでは、地域の基幹病院と協働してCOPD地域連携パスを作成するなど、在宅呼吸ケアの充実にも注力しています。

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職員が辞めない組織をつくる!⑭

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。

 

ターミナルケアにおける
職員の精神的負担を減らす施策

 

横山 郁子

よこやま いくこ

株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 会長

 

 

 

ターミナルケアでの不安要素とは

 

在宅でのターミナルケアにおいて、看護師は人生の最後の時間を過ごす利用者・家族を支え導く役割を担っています。余命宣告を受けた利用者・家族は多大なストレスを抱えているため、医療関係者を過度に頼ったり、感情的に取り乱すことがあります。そのような業務を担う職員は知らず知らずのうちにストレスを抱えがちです。

 

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生きるということ

肌に触れるその手の優しさ、
その存在に救われる

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渡辺えり[劇作家・演出家・女優・歌手]

 

わたなべ・えり|山形県出身。舞台芸術学院、青俳演出部を経て、1978年から「劇団3○○」を20年間主催。劇作家、演出家、女優として、また歌手として舞台、映像、マスコミのジャンルを問わず活躍する。戯曲の他、『早すぎる自叙伝 えり子の冒険』(小学館)、『思い入れ歌謡劇場』(中央公論新社)、『渡辺えりの人生相談 荒波を乗り越える50の知恵』(毎日新聞出版)など、著作多数。現在は山形新聞で、独自の切り口で綴るコラム「渡辺えりのちょっとブレーク」も大好評連載中。

 

子どものころから病弱で、往診に来てくださるお医者さんや看護師さんの白衣、そしてアルコール消毒液のにおいを嗅ぐとホッとしてそれだけで具合がよくなるように感じたものだった。
そっとおなかに置く手、おでこに当てる柔らかい手、体温計を挟むために脇の下に触れる手。肌に触れるその手の優しさで、病でくすんだ心が回復していく。

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