地域ケアの今⑭

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

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秋の雑感

今年の夏を振り返って

文:上野まり

 

今年はオリンピック・パラリンピックイヤーでした。気温が高く暑い夏でしたが、早朝にかけて応援でさらに熱くなった人もいたでしょう。4年後の東京オリンピックを視野に入れてか、日本代表選手が準決勝や決勝に進む競技が多く、私も寝不足になるとわかっていてもテレビのスイッチが切れない……という日が続きました。柔道やレスリング、重量挙げ、水泳など、これまでも多くの選手が活躍してきた競技には期待が大きく、金メダルが取れないという贅沢な悔しさを何度も味わいました。

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トシコとヒロミの往復書簡 第13回

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

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井部俊子さんから川越博美さんへの手紙

訪問看護ステーションビジネス

文:井部俊子

 

“ただ訪問する”ということ

 

訪問看護をライフワークとしてきたあなたの“昔話”を興味深く拝見しました。

 

介護保険制度施行以前は、訪問看護師の最大の顧客は医師であり、施行後はケアマネジャーになったという指摘に、訪問看護制度の苦難を

私は感じます。なぜ、顧客は訪問看護サービスを受けたい“住民”にならないのでしょうか。なぜ、訪問看護師は誰かが作成した“訪問看護指示書”や“ケアプラン”に従わなければならないのでしょうか。それらの効能はどのくらいあるのでしょうか。このためにどのくらいの対価が払われているのでしょうか。なぜ、訪問看護師たちはこのような制度矛盾に声を上げないのでしょうか。

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地域ケアの今⑬

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

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生活習慣を尊重する介護
時代と地域性を反映させる

文:鳥海房枝

 

私は福祉サービスの第三者評価に携わっており、その際に保育園を訪れたときは、園児と同じ献立の食事を一緒にいただいています。3歳児以上のクラスでは、私たち評価者は子どもから見ると祖父母の年齢に近いためか、細々と食事の世話をしてくれます。世話をされるより世話をすることが「好き」な気持ちはよくわかります。また、2歳児のクラスでは、はしを上手に使って食事する子どもと、スプーンで食べる子どもがいて、はしを使っている子どもが誇らしそうに食べている姿が印象的です。食事が終わるとトイレに向かう子どもも多くいます。

 

0歳から年長さん(5、6歳)までを集団でみる保育園では、子どもが生活習慣を身につけていくプロセスがよくわかります。そして入浴がないだけで、子どもの食事・排泄動作を誘導する職員の姿は高齢者ケア施設の職員に共通するものを感じます。

 

介護の世界で“3大ケア”として支援の基本にしているのが、食事・排泄・入浴です。さらに、入所施設では就寝時の更衣支援も、QOLの向上に位置づけて取り組まれています。そしてこれらの支援の際には、高齢者個々の生活習慣を尊重することを重要視しています。

 

今回は、高齢者への介護で極めて当然のように言われている生活習慣についてあらためて考えてみます。3大ケアのそれぞれに「習慣」の文字をつなぐと、食事習慣・排泄習慣・入浴習慣のようになんの違和感もなく意味が通じます。また「文化」の文字も同様につなぐことができます。

 

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トシコとヒロミの往復書簡 第11回

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

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井部俊子さんから川越博美さんへの手紙

訪問看護ステーションビジネス

文:井部俊子

 

 

先月号は、お互いの親の看取りを語り合いましたね。拙著『マネジメントの探究』(ライフサポート社, 2007)も手にとっていただきありがとうございました。余談ですが、先日、日本クリティカルケア看護学会学術集会で看護管理の講演をする機会があり、自分の本の紹介をしました。講演を終えると参加者の1人が「本が売れていますよ」と言って近づいて来たので、どうしてわかるのかと問うたところ、講演中にAmazonで購入を始めた人がいて、売れ行きがわかったというのです。何人かは私の話を聞きながら、Amazonで注文していたようです。翌日、ライフサポート社から連絡があり、『マネジメントの探究』が急に動き始めたが、残り少ないので増刷すべきか考えているということでした。私は元来、自分の著書を自分で宣伝することは「恥ずかしながら」避けてきましたが、本が売れないと絶版になってしまうので「恥ずかしながら」はやめようと思った次第です。

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地域ケアの今⑪

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

1608鳥海様

災害への新しい備え方

文:鳥海房枝

 

 

震度7という途方もない揺れに2度もみまわれ、2カ月半が過ぎても震度3〜4の余震が熊本県、大分県を襲っています。揺れのすさまじさは、勇壮な武者返しの石垣に象徴される熊本城が映画のセットに見えるほど破壊されている映像や、大きな被害がないように見えても地割れが家屋の下を縦走している映像から伝わってきます。

 

1995年1月の阪神淡路大震災、2004年10月の新潟県中越地震、2011年3月の東日本大震災、そしてこのたびの熊本地震は、ここ20年の間に相次いで発生し、大きな災害として歴史に残るでしょう。日常をなんとなく過ごしながら、実は「歴史的な事象の真っただ中にいるのかもしれない」と感じる自分がいます。そして、震災に対する人々の受け止め方も目に見える形で変化しているように思います。

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