書評『がん終末期患者のストーマケア Q&A』(祖父江正代・松浦信子 編)

評者:溝上 祐子(公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程長)

 

これからの日本は急速に進む高齢化・多死社会を迎えるに当たり、医療のあり方を大きく変化させていくことが求められている。

 

看護師が働く場所も病院だけでなく、あらゆる保健施設や老人施設、そして在宅の場など多様化していくであろう。現在は看取りの場所のトップは病院であるが、今後はその受け入れ病床が不足することが予測されている。

 

もはや、がん終末期の緩和ケアは病院だけではなく、あらゆる場面で必要となってくる。これからの看護師はプロフェッショナルとして、あらゆる職種と協働しながらリーダーシップを執っていく能力と知識を持たなければならない。

 

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Review『看護の時代』(日野原重明・川島みどり・石飛幸三)

 

評者:勝原 裕美子(聖隷浜松病院 副院長兼総看護部長)

 

「看護師が考えている以上に、看護師にはできることがある。感じている以上に、やるべきことがある」

 

今をときめく人というのはその時代ごとにいるが、本書の著者3人は、看護の本質を見抜き、看護の歴史を作りながら、ずっとときめき続けてきた人たちだ。その人たちが、看護の普遍的な力と看護の限りない可能性を語ってくれている。病を治すという基本的な医療の考え方に対して医療者はもっと謙虚にならなくてはならない。

 

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書評『伝え上手な患者になる!「医者と何を話してよいかわからない」あなたへ』(平松 類 著/自由国民社)

評者:石田 昌宏(前日本看護連盟幹事長)

 

少子高齢化は、医療の受け手が増え、支え手が減る時代。医療にかかるお金がかかる時代。効率化が求められる。それを乗り切るには、医療のプロたちを上手に使う方法を国民みんなで共有する必要がある。

 

熱っぽい時はどうしたらいいのか。薬を忘れず飲むためにはどうしたらいいのか。体調の違和感をどうやって医師に伝えたらいいのか、手術をしたほうがいいと言われたが不安をどうやって取り除けばいいのか……。

 

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書評『末期ガン科学者の生還』(向井楠宏/カロス出版)

評者:秋田 正雄(元日本看護協会出版会副社長)

 

この書は「余命3カ月の末期がん」と宣告された科学者(著者)がそれまで受けてきた西洋医療とは大胆にも決別し、代替医療に専念することによって生還を果たしたという、がん闘病実録である。

 

ある医大病院で手遅れの「神経内分泌細胞がん」と診断されたのが2006年の夏。5年半経過した今、著者は嘘のように回復して元気溌剌の生活を送っている。いったい、あの告知は何だったのだろうか。当時のセカンドオピニオンもほぼ同じ判断をしており、誤診ではなかったはず。西洋医学では説明のつかない不思議な事例であった。

 

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書評『退院支援・退院調整ステップアップQ&A 実践者からの知恵とコツ』(宇都宮宏子・長江弘子・山田雅子・吉田千文編)

評者:久保田 聰美(近森病院看護部長)

 

退院支援・退院調整は誰のためにしているのだろうか。「もちろん、患者さんやご家族のためですよ」と現場の担当者は答えるだろう。「病院経営のためにも重要でしょう」と管理者は答えるかもしれない。「診療報酬でも評価されましたから」と聞くと少し切ない気持ちになるのは私だけだろうか。もちろん、診療報酬で評価されたことには大きな意味がある。それだけ社会的な要望も強いのだろう。だからこそ、在院日数の短縮だけが目標ではないはず……。そんな思いを抱いている看護管理者にこそ、この本をお勧めしたい。

 

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