評者:長谷川 久巳
(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 管理看護師長/がん看護専門看護師)
がん患者さんやご家族が「素人ですから」と言うことは多い。この言葉の意味は、がんという病の脅威に対する怒りや諦め、否定あるいは医療者とよい関係を築きたいという表れだったりと、さまざまなように思う。いずれにしても、患者-医療者間の情報の質と量の差は決して埋められないし、たとえ、がん医療のプロであっても当事者となれば“素人”になるものである。そのような前提の上で、あえて本書は“患者さんにも勉強してほしい”と苦言を呈している。これを、「がんという病の脅威に逃げることなく、また情報に翻弄されず、がんや医療機関、医療者とうまく付き合い、患者さんが主役となって歩んでほしい」というメッセージに違いないと本書を読み進める中で感じ取った。 続きを読む…