エビデンスにもとづく看護(evidence-based nursing:EBN)の国際拠点であるJoannna Briggs Institute(JBI)が集積する世界標準のベストプラクティス集、『JBI:推奨すべき看護実践〜海外エビデンスを臨床で活用する』の刊行を記念して、JBIより日本看護協会の会員の方々に向けてメッセージをいただきました。
エビデンスにもとづく看護(evidence-based nursing:EBN)の国際拠点であるJoannna Briggs Institute(JBI)が集積する世界標準のベストプラクティス集、『JBI:推奨すべき看護実践〜海外エビデンスを臨床で活用する』の刊行を記念して、JBIより日本看護協会の会員の方々に向けてメッセージをいただきました。
訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全
な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会
計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。
渡邉 尚之
新型コロナウイルス感染症により、多くの訪問看護ステーションが減収となっています。中にはスタッフなどが感染し、一時的に事業所を閉鎖せざるを得なくなったステーションもあるのではないでしょうか。
緊急事態宣言は5月25日に全国で解除されましたが、感染の第2波、第3波などへの懸念は依然続いており、まだ出口の見えない状況です。そこで本稿では、新型コロナウイルス感染症に伴う経営支援制度について紹介します。
COVID-19の患者の治療にあたる倉原優さんに、同じコロナウイルス感染症であるSARS・MERSをはじめ、インフルエンザウイルスとの異なる点を踏まえて、感染拡大の防止に向けた日本の基本戦略、医療従事者の感染防御のポイント、2020年5月末時点の治療薬の候補を紹介していただきます。
倉原 優
2006年滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院の初期臨床研修修了後、2008年より現職。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医。「呼吸器の薬の考え方、使い方」(中外医学社)、「COPDの教科書 呼吸器専門医が教える診療の鉄則」(医学書院)など著書多数。
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COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のまん延期
未曽有のパンデミックをもたらした
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)
中国・武漢で2019年12月に原因不明の肺炎患者が複数発生しました。これをニュースで聞いたとき少し不気味な印象を受けましたが、韓国でいつか起きたような加湿器による過敏性肺炎の類かもしれないと感じた程度でした。まさか、それが世界中にパンデミックをもたらす感染症になるとは夢にも思いませんでした。
本誌『看護』は毎年3回(3・6・11月)、臨時増刊号を発行しています。各号1つのテーマに絞り、詳細な解説や現場の事例を豊富に掲載しています。2020年3月臨時増刊号では、開催50年を迎えた“日本看護学会”をテーマに、実践に還元できる看護研究について考えます。
■時代に沿った日本看護学会の変革
日本看護学会は、看護職が実践にねざした研究を発表し、ディスカッション等を交えて相互に学び合う場として、専門領域別の学術集会を全国で開催しています。日本の看護の質向上に寄与してきた本学会は、社会情勢の変化や教育カリキュラム改正などに合わせて領域の統合や再編などを重ねながら、2019年に50回開催を迎えました。
そして現在、3職能と専門領域が連携し、地域包括ケアシステムを推進するための課題の討議や解決策の共有ができるよう、2021年度以降の“領域一元化”という転換点に向けて動き始めています。
■研究者・教育者・実践者の立場から
臨床実践にねざした研究について考える
『看護』3月臨時増刊号では“日本看護学会”をテーマに、これまで本学会の果たしてきた役割を振り返り、2021年度以降の新たな本学会の方向性を掲載しています。
まずは、これまでの本学会の“あゆみ”からご紹介。「Ⅰ 日本看護学会の歴史」では、1967(昭和42)年度の日本看護学会開始から2019(令和元)年度の第50回までのあゆみを、社会や医療の動向とともに解説。論文の質向上に向けて実施してきた支援事業の内容も紹介しています。
「Ⅱ-1 研究者・教員の立場から」では、学会査読委員や研究指導に携わってきた7名のベテラン研究者・教育者の声をご紹介。これまでの自身の研究経験も踏まえて看護の質向上につなげる研究の重要性、査読や研究倫理についての提言、そして若手看護職への期待のメッセージを寄せています。
ケアを頑張りながら看護研究に取り組まれている臨床現場の皆さんの中には、毎日が忙しいために取り組むことが困難な方もいるかもしれません。それでも、目の前の患者さんのためによりよい実践にしていきたい! という思いも持たれているでしょう。そんなときには「Ⅱ-2 受賞者から」をご覧ください。近年の本学会「優秀発表賞」受賞者を代表して10名の研究内容を収載しています(次ページ下の【主な内容】もご覧ください)。各報告では研究の着手背景から研究概要を紹介いただき、“実践にねざした研究”を具体的にイメージできます。学会発表や論文投稿・採択までの道のりとして、各所属施設ではどのような支援があるか、研究成果の実践への適用についてもご紹介。初めて研究担当となった方、これから研究を始める方にも参考となる章です。
政策的な視点からも、臨床看護研究にどのような意義があるのかを考えてみませんか? 「Ⅱ-3 看保連から」では、看護の現場と診療報酬・介護報酬を“つなぐ”立場である看護系学会等社会保険連合(看保連)から、看護ケアが医療政策で適正な評価を得るためにはどのような研究が必要かを解説しています。
そして「Ⅲ 看護の未来に向けて」では、地域包括ケア時代における臨床看護研究のあり方と、新たな日本看護学会がめざす方向性、演題登録区分の設定などをいち早くご紹介!
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本臨時増刊号は、臨床ナースの皆さんにぜひ注目していただきたいテーマです。日ごろの実践の中で感じた疑問や気づき、現場における看護の知を見える化し、日々のケアに生かしていきましょう。
『看護』2020年3月臨時増刊号
総特集 臨床実践にねざした研究で看護の質の向上を
日本看護学会学術集会の未来
企画協力:公益社団法人日本看護協会 看護研修学校 教育研究部学会企画課
●A4判変型 128ページ
●定価(本体2000円+税)
日本看護協会出版会
TEL:0436-23-3271
【主な内容】
緒言 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから 吉川 久美子
I 日本看護学会の歴史
II 臨床実践にねざした研究とは
II-1 研究者・教員の立場から
松下 年子/山勢 博彰/市村 久美子/中尾 友美/森 千鶴/藤田 冬子/湯澤 八江
II-2 受賞者から
災害時の薬の備え/ホームホスピスでの看取りに対する家族のニーズと願い/経皮的冠動脈形成術後の膨脹時の対応プロトコールを作成・検証/抗精神病薬減量に取り組む看護師の心の動きと原動力/糖尿病教育入院に携わる看護師の困難/動画教材を使った小児救急シミュレーション学習/精神科訪問看護利用者の退院後3カ月以内の再入院予防/集中治療室で意識障害の患者と過ごす家族の思い/エジンバラ産後うつ病質問票の結果を分析し母子支援に生かす/同行訪問を通したスタッフ支援の見直しがプラスの連鎖を呼んだ過程
II-3 看保連から
診療報酬・介護報酬における看護の評価につながる臨床研究への期待 小野田 舞
III 看護の未来に向けて
地域包括ケア地代に求められる新たな学会の形
IV 資料 本学会の動向と社会の動向/優秀発表、優秀論文受賞一覧/論文作成支援講座の概要 ほか