地域ケアの今(77)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

私の「取扱説明書」

文:鳥海房枝

 

後期高齢者の仲間入りをして、自分自身が人生100年時代に現実感を持って向き合わざるを得なくなりました。120人定員の特別養護老人ホームに勤務していた20数年前、そこで100歳を超えていた利用者は2、3人だったように記憶しています。それが第三者評価で訪れる2ユニット(定員18人)の規模のグループホームであっても、100歳を超えた利用者の姿を目にするようになりました。また、自身の第三者評価として現場を見る目も、介護サービスを受ける側から考えていることに気づかされるときがあります。つまり、「介護を提供する」側の視点ではなく、自らが当事者として「介護を受ける」側の視点で見ているのです。すると、自分だったら大切にしてほしいこと、かなえてほしいこと、絶対にやってほしくないことなどがわかってきました。

 

利用者理解を深める取り組み

 

事業所は自施設を高齢者の生活の場と位置づけ、利用者の暮らしの継続を謳い、アセスメントシートによってADLはもとよりIADL、生活習慣、趣味、職歴、学歴、生活歴、認知症症状などを情報収集して支援内容をプラン化します。ただし、核家族化の進行により高齢の夫婦世帯や親子世帯、単身世帯が増加し、さらに本人の認知症症状の進行などで生活実態のわからない利用者も珍しくなくなりました。医療であれば患者本人からの訴えがなくても、「検査」という科学的手段によって正常・異常を判断し、治療への方向づけを行うことができるでしょう。ところが、生活習慣はきわめて個別性が高く人それぞれです。したがって「標準」もありません。生活習慣の継続を尊重するとなると、本人・家族からの情報収集が不可欠であるにもかかわらず、これが世帯構造の変化などにより難しくなっているのです。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2022年2月号)