看護と経営(14)

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*vol.1〜6は【解説編】、vol.7以降は【実践編】となります。

 


 

vol.14 実践編⑧

収益最大化の具体例 地域の信頼を得て

「重症患者の紹介」を確実なものに

 

鳥海 和輝

とりうみ・かずき◉大学卒業後、社会保障系出版社に勤務。医療保

険専門誌、介護保険専門誌の記者やデスク等を経て現職。現在、

ニュースサイト『Gem Med』にて、医療政策・行政情報を発信し

ている。

 

 

本連載では、病院経営を安定させるためには「収益を上げ、費用を下げる」ことが重要だと述べてきました。今号では、「収益を上げる」方策について、より具体的に考えてみたいと思います。

 

地域の信頼を得る

 

本連載の第12回(本誌2025年3月号)では、収益増に向けて、重症の紹介患者ならびに救急搬送患者を受け入れることの重要性について確認しました。後者の「救急搬送患者」については病院側でコントロールできないため、安定的な収益増を考えると、前者の「重症の紹介患者」がとりわけ重要であることがわかります。

 

福岡県の急性期病院(以下:A病院)では、地域の介護施設等の看護師やケアマネジャーを招いて症例検討会を開催したり、病棟看護師と一緒にラウンドしたりするなどの取り組みを行っています。それにより、介護施設等からの参加者が「A病院では、ここまでの取り組みをしてくれるのか。入所者や利用者が重症化した場合にはA病院にまず連絡しよう」という考えを持つに至り、A病院は地域の介護施設等から重症患者を優先的に紹介してもらえるようになりました。

 

また、症例検討会・ラウンドを通じて、A病院の看護師と介護施設の看護師との間に「共通の認識」が生まれ、円滑な退院支援の実現につながっています。一方で、その共通認識がないと、次のようなケースが起こり得ます。

 

→続きは本誌で(看護2025年5月号)