肌に触れるその手の優しさ、
その存在に救われる
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渡辺えり[劇作家・演出家・女優・歌手]
わたなべ・えり|山形県出身。舞台芸術学院、青俳演出部を経て、1978年から「劇団3○○」を20年間主催。劇作家、演出家、女優として、また歌手として舞台、映像、マスコミのジャンルを問わず活躍する。戯曲の他、『早すぎる自叙伝 えり子の冒険』(小学館)、『思い入れ歌謡劇場』(中央公論新社)、『渡辺えりの人生相談 荒波を乗り越える50の知恵』(毎日新聞出版)など、著作多数。現在は山形新聞で、独自の切り口で綴るコラム「渡辺えりのちょっとブレーク」も大好評連載中。
子どものころから病弱で、往診に来てくださるお医者さんや看護師さんの白衣、そしてアルコール消毒液のにおいを嗅ぐとホッとしてそれだけで具合がよくなるように感じたものだった。
そっとおなかに置く手、おでこに当てる柔らかい手、体温計を挟むために脇の下に触れる手。肌に触れるその手の優しさで、病でくすんだ心が回復していく。