行動変容をそっと促す ナッジを使ったアプローチ⑭

ナッジとは、人の心理特性に沿って望ましい行動をしたくなるように促す設計のこと。この連載では、3人の医療職をめざす学生がナッジを学ぶ姿を通して、看護・介護に役立つヒントを示します。

 

「記録しないこと」には理由がある?

 

竹林 正樹

たけばやし まさき

青森大学 客員教授/行動経済学研究者

 

[今月のゲストスピーカー]

後藤 励

ごとう れい

慶應義塾大学大学院

経営管理研究科・健康マネジメント研究科 教授/医師

 

 

竹林 前回は、後藤励先生(慶應義塾大学大学院)から「経済学は、限りある資源(人・物・金など)を最適配分し、満足度を最大化するための学問」という、経済学の目的を中心にお話しいただきました。
金田くん、後藤先生に質問したいことがあるんですよね?

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生きるということ

 

自分のやるべきことをやる

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尾身 茂[医師・公益財団法人結核予防会理事長]

 

1949年生まれ。東京都中野区出身。1972年、慶應義塾大学法学部を経て自治医科大学に入学(1期生)。同大卒業後、伊豆七島を中心に地域医療に従事。1990年からWHO西太平洋地域事務局、1999年から同事務局長を務めた。2014年に独立行政法人地域医療機能推進機構理事長に、2022年に公益財団法人結核予防会理事長に就任。2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード構成員、新型コロナウイルス感染症対策分科会長も務めた。

 

われわれの生命は与えられるものです。自分だけで生まれ、自分で好きなようにつくってきたわけではありません。もちろん、生命には皆価値がありますが、両親からの遺伝子や環境など、それぞれが与えられる個性は違います。それぞれの個性に応じて悔いのないように生きるということが大事です。

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生きるということ

「生と死」を
思わざるを得なかった日々

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鳥越俊太郎[ニュースの職人]

 

1940年生まれ。福岡県吉井町(現・うきは市)出身。京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に入社。新潟支局、大阪社会部、東京社会部、「サンデー毎日」編集部に所属し、外信部(テヘラン特派員)を経て1988年4月より「サンデー毎日」編集長。1989年に退職して以降、テレビ朝日系列「ザ・スクープ」「サンデージャングル」でキャスターを務めるなど、テレビメディアに活動の場を移した。現在もさまざまなメディアで「ニュースの職人」として活躍中。著書に『人間力の磨き方』(講談社新書)『食べてよく寝て鍛えなさい』(内外出版社)など多数。

 

先日私の友人が脊柱管狭窄症で手術を受けた。全身麻酔が初めてで、不安だという。そこで私は言ってやった。

 

「麻酔学はものすごく進んでいるんだって。あんまり心配しなくていいんじゃない?」

 

こういう時には自分の体験を話すに限る。

 

私は全身麻酔の手術を10回受けている。

①難聴解消のための内耳の手術

②大腸がん摘出手術

③左肺への転移摘出手術

④右肺への転移同

⑤肝臓への転移同

⑥胃のGIST摘出手術

⑦脊柱管狭窄症手術

⑧同上

⑨同上

⑩同上

 

ちょっと見ただけでも難解そうな手術。

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基礎から学ぶ! 事例でわかる! 訪問看護ステーションの事業承継

経営者の高齢化等により注目されている事業承継。成功させるにはいくつかのポイントがあります。本連載では、事業承継とは何か、事業承継の流れ・留意点などの基礎知識を解説し、実際の支援事例を紹介します。

 

 

 

マクロ視点から見る訪問看護の事業承継2

 

坪田 康佑

つぼた こうすけ

一般社団法人訪問看護支援協会

 

 

前回は、訪問看護ステーションの開設主体(法人)で最も多い営利法人について、経済産業省中小企業庁のデータなどを用いながら事業承継の課題、さらに訪問看護ステーションの大規模化の流れを紹介しました。

 

厚生労働省の「令和3年介護サービス施設・事業所調査結果の概要」によると、訪問看護ステーションの開設主体は、営利法人(会社)が59.2%、医療法人21.9%、社団・財団法人6.7%、社会福祉法人(社会福祉協議会を含む)5.7%となっています(図表)1)。今回は、営利法人を除いた上位にある医療法人と社会福祉法人*1事業承継、また、廃止・休止の実態とその影響について解説します。

 

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宮子あずさの気まぐれコラム

精神科病院で働きながら、文筆活動を行う宮子あずささん。最近気になること、疑問に思うことなどを書きつづります

 

(30)精神科医療における血液透析の問題

 

 

衝撃の報道

NHKの報道で、明るみに出た「滝山病院」(東京都八王子市)の患者への暴行事件。看護職による悪質な人権侵害に、大きな衝撃を受けています。ただ1つの救いは、これが内部告発に基づく報道だったことでした。

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