地域ケアの今(71)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

「公平性」より「効率性」

文:鳥海房枝

 

この拙文が読者の皆さんに届くころ、「コロナ」はどうなっているか、大変気になりながら書いています。現在、マスコミがコロナ関連で大きく取り上げているのは、都道府県別の感染者数の推移とワクチン接種に関することです。

 

パンデミックに見舞われている今、ワクチン接種の対象者は膨大な数であるため、効率的に行うことが求められます。実際の対応を任された自治体(市区町村)は、短い準備期間で経験のないことに取り組むわけですから、進め方に地域差が出るのも仕方ありません。さらに、国は東京都・大阪府で大規模会場での接種に着手しています。

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SPECIAL INTERVIEW 『訪問看護が支える 在宅ターミナルケア』ターミナル期にある療養者と家族を支えるために、訪問看護師が知っておきたい実践的知識を網羅!

2015年刊行の好評書『訪問看護が支える がんの在宅ターミナルケア』を全面的に見直し・更新を行い、非がんに関する項目も加えて改訂・改題しました。執筆者である中島朋子さんと宮田乃有さんに本書の読みどころや執筆に込めた思いをうかがいました。

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スペシャリストの実践知

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

認知症

認知症に対する誤解・偏見に気づき

本人の意思に焦点を当てる

 

今月のスペシャリスト:田中 和子

 

 

突然、大声を出すようになった

脳血管性認知症のAさん

 

事例

Aさん/80代男性/要介護5

脳梗塞・脳血管性認知症

 

Aさんは妻と2人暮らし。5年前に右後頭葉脳梗塞を発症して左半身不全麻痺・左半盲となったが、身のまわりのことは自分でできていた。週1回のデイサービスを利用。1年前に左大脳散在性脳梗塞を起こして右半身不全麻痺・運動性失語となり、ほぼ寝たきりの状態となった。以降、排便コントロールの目的で訪問看護が導入された。

 

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災害に強いステーションづくり❹

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

BCPの策定手順①
STEP1 策定体制の構築

 

寺田 英子

てらだ ひでこ

災害看護専門看護師/認定看護管理者

 

 

医療・福祉施設の災害への備え

 

今の日本は、地震や水害、新興感染症などの多様な災害リスクと隣り合わせです。ひとたび災害が起こると医療・福祉のニーズは高まり、それと同時にスタッフや施設、ライフラインは大きな被害を受けてサービス提供機能は大幅に低下します。そうした中でも医療・福祉施設には、限られた資源を最大限に活用して救護活動とサービス提供を行うことが求められています。

 

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人事労務相談室❷

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で

生じやすい人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

採用で失敗しないコツ①
面接でマインド(考え方)を見抜く

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

 

コロナ禍において世の中の雇用情勢は一変したとはいえ、医療・介護業界では、人手不足が続いており、すでに「採用できない」ことが一番の悩み事になっている事業所も少なくないでしょう。社会保険労務士として事業所を回る中で、経営者・採用担当者から「採用が難しく、人材紹介会社からの採用が中心になっている」という声を聞きます。一方で、高い紹介料に苦しんでいる事業所、また紹介料を支払って採用したにもかかわらず期待外れの人材だったり、早期に退職となったり、悩みのつきない事業所も多いようです。さらにこの採用難が「採用の失敗」を生み出す、負のサイクルも見過ごせません。採用の失敗とは、期待能力を大幅に下回る人材や社会人として問題のある人材を採用してしまう、いわゆる採用のミスマッチのことです。

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