ナーシング・トゥデイ10月号特集 誌上コンサルテーションシリーズ⑩ 糖尿病ケア インシデント防止への取り組みと連携

 

NT1410表紙10月号の特集テーマは

「糖尿病ケア インシデント防止への取り組みと連携」です。

 

糖尿病領域におけるインシデントは、薬物療法(インスリン注射)、検査(血糖測定)などさまざまな場面で生じます。インシデントを防止するには、医療安全管理室担当者等と連携し、院内教育の充実、院内安全マニュアルの整備等が必要です。また、高齢糖尿病患者が安全な療養生活を送るためには、病院スタッフと訪問看護師の連携・支援が必須です。本特集では、委員会活動やクリニカルパスの活用を通してインシデント防止に取り組む病院の事例や、医療機関と情報共有しながら糖尿病療養者を支える訪問看護の事例を紹介します。「誌上コンサルテーション」では、困難事例4題を掲載します。

 

監修:森小律恵

(日本看護協会 看護研修学校 認定看護師教育課程 糖尿病看護学科/糖尿病看護認定看護師)

 

糖尿病領域における医療安全についての現状と課題

森小律恵

 

安全に効果的にインスリン療法を継続するために

 

「安全」という共通の価値観を次代につなぐ
―基礎教育と臨床現場の相互理解を通して
任 和子(京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 教授)

 

継続教育における医療安全に対する取り組みと課題
大倉瑞代(京都大学医学部附属病院/糖尿病看護認定看護師)

松村由美(京都大学医学部附属病院 医療安全管理室)

 

インスリン関連インシデントへの取り組み

 ―医療安全管理部との連携
柏本佐智子(NTT西日本大阪病院/糖尿病看護認定看護師)

 

インスリン注射に関するインシデントへの取り組み

 ―糖尿病チームにおける連携
中元美恵(JA広島厚生連広島総合病院/糖尿病看護認定看護師)

 

在宅における糖尿病領域のインシデント対応

 ―訪問看護の立場から在宅糖尿病療養者の支援にひそむリスクを考える
茶谷妙子(公益社団法人京都保健会総合ケアステーションわかば/訪問看護認定看護師)

 

在宅での安全なインスリン治療継続への取り組み ―クリニカルパスを活用したインスリン導入患者へのサポートシステムづくり
髙木あけみ(前橋赤十字病院/糖尿病看護認定看護師)

 

 

困難事例の誌上コンサルテーション

 

1 指示のないインスリン注射を実施するインシデントが生じたケース(病棟看護師からのコンサルテーション)

松尾美穂(東京医科大学八王子医療センター/糖尿病看護認定看護師)

 

2 禁食から食事開始によるインスリン投与法の変更に伴いインシデントが生じたケース (病棟師長からのコンサルテーション)

岩塚晶子(東京労災病院/糖尿病看護認定看護師)

 

3 飲酒によって重症低血糖を繰り返し起こしたケース(病棟看護師からのコンサルテーション)

髙橋弥生(聖隷佐倉市民病院/糖尿病看護認定看護師)

 

4 インスリン自己注射ができなくなり高血糖を来したケース(訪問看護師からのコンサルテーション)

丸山順子(JA新潟厚生連長岡中央綜合病院/糖尿病看護認定看護師)

 

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NT2014年10月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

NT1410表紙NT2014年10月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「メンバーに〝あの人と一緒だと苦労する〟とラベルを貼る人がいて、チームが嫌な雰囲気です」

 

 

 

 

 

 

 

人はラベルを貼りがち

 

「あの人は患者を観察する力がない」「あの人とチームを組むと大変なことになる」などと“ラベル”が貼られてしまうと、当人と働いたことがなくても「仕事ができない人」という枠組みで見てしまいがちです。

誰もが起こしそうな小さなミスにもかかわらず、「やっぱり仕事ができない人なのだ」と、因果関係が明確ではないのに飛躍した考えで評価してしまうことがあるかもしれません。ひいては「あの人と一緒に仕事をしたくない」と、チーム崩壊につながってしまうことさえあります。

 

評価にバラつきがあるのは当然

 

事例 ▶ Aさんが昨日、急変の兆候を見逃したことで、チームのメンバーがてんてこ舞いになり、そのことを影響力の大きなメンバーBさんが「Aさんと一緒のチームだと苦労させられるので、一緒のチームは嫌です」と評価し、訴えました。一方、自分もそのような経験があると認識している人は「それは誰にでもあることじゃない?」と判断しているようです。

そもそも「評価」は、「測定」と異なり、出来事に人の「価値判断」を加えることです。つまり、評価する人の主観が入りますから、当然バラつきが出ます(表1)。

 

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360°から人の強みを眺めるためにラベルを根気強くはがす

 

ラベルを貼るメリットは“中身を確かめなくても判断できる”ことにあります。しかし、もし、そのラベルが間違えて貼られていたら……。

 

例えばもし、フェノバルビタール散(抗てんかん薬)の薬瓶に「乳糖」とラベルが貼ってあったら恐ろしいですね。チームにしても同じです。いったんラベルが貼られると確かめもせずにラベルを信じ、人を傷つけかねません。別の角度から眺めれば活用できる強みだったのに活用できないまま、人材を失うこともあります。

 

貼り付けてしまったラベルは、360°から人の強みを眺めなおすために根気強く“はがす”ことが重要です。

(この続きは本誌で)

 

[著者]永井 則子(有限会社ビジネスブレーン代表取締役)

 

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NT2014年10月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

 

NT1410表紙NT2014年10月号の

【アセスメント力を高める

フットケア】は、

 

「足の神経を理解する」

 

当然のことながら、人間の体はすべてがつながっています。例えば、膝の痛みがあるときに、インソールに手を加えて足底からアライメントを変えると、その痛みが引いてしまうということがあります。アライメントとは、配列とか並びを意味します。もう少しわかりやすく「骨(または骨格)アライメント」と表記されることもあります。

 

立位で人体を真横から見たときの正しいアライメントは、[耳〜肩峰〜大転子〜膝蓋骨後面〜外果]を結んだラインが一直線である状態です。自分では自然に立位を取っていると思っていても、その位置がずれているとき、「アライメントが崩れている」と言います。こうした体のつながりを理解すると、足へのアプローチがいかに有効かということがわかってきます。

 

全身がつながっていることをさらに実感できるのは、「神経」ではないでしょうか。少し強引な流れではありますが、今回は神経についてひもといてみましょう。

 

神経の働きと役割

 

神経は、中枢神経と末梢神経に分けられることはすでにご存じだと思います。その中で足にかかわる神経は末梢神経です。これを機能的に分類すると、体性神経と自律神経に分けられます(図1)。

 

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体性神経には、感覚神経(知覚神経とも言います)と運動神経があります。

 

感覚神経は、例えば皮膚になにか触れたときに、その部分から中心の神経に向かって信号が送られていくため、求心性神経と言われます。感覚神経には、皮膚を介して感じる触覚、痛覚、温度覚といった表在感覚と、筋腱、関節、骨膜といった皮膚より下部にある組織で感知する圧覚、振動覚、位置覚、運動覚といった深部感覚があります。そして、内臓で感じる内臓感覚に至るまでの感覚を司る神経です。

 

逆に運動神経は、その部分を動かすために、中心となる神経から動かしたい末梢側の部分に向かって信号が送られるため、遠心系神経と言われています。筋肉には、自分で意識して動かすことができる随意筋である骨格筋と、自動的に調整をして動かす不随意筋の心筋、平滑筋があります。このうち骨格筋をコントロールするのは運動神経ですが、不随意筋は自律神経の働きによるものです。

 

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。学生さんに講義をするときには、交感神経は戦闘モード、副交感神経はリラックスモードと話しています。体の内部をこうしたモードに従って自動調整してくれる大切な神経です。

 

復習も兼ねてざっと神経のことを書きましたが、その中でそれぞれの神経が障害されると足にどんな影響を及ぼすのかを見てみましょう。

(この続きは本誌で)

 

[著者]西田 壽代

(足のナースクリニック代表/一般社団法人日本トータルフットマネジメント協会会長)

 

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ナーシング・トゥデイ8月号特集 誌上コンサルテーションシリーズ⑨ 疾患別「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア 

1408hyoshiOL8月号の特集テーマは

「疾患別「つらくない」「痛くない」

褥瘡ケア」です。

 

2013年8月号の特集では“「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア”をテーマとして、これまであまり意識されてこなかった「疼痛緩和に配慮した褥瘡ケア」の基本を取り上げました。本特集では、がん、脳卒中など患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた「つらさ」と「痛み」に配慮した褥瘡ケアを考えます。また、後半では困難事例を取り上げ、コンサルテーションを行います。

 

監修:祖父江正代

(JA愛知厚生連江南厚生病院/がん看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

患者が抱える「つらさ」「痛み」のアセスメントの視点

祖父江正代

 

患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケアの実践

 

がん患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

祖父江正代

 

脳卒中患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

小林陽子(東京都健康長寿医療センター/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

心不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

志村知子(日本医科大学付属病院/急性・重症患者看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性腎不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

丹波光子(杏林大学医学部付属病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

脊髄損傷患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

木下幸子(金沢医科大学看護学部講師/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性関節リウマチ患者が抱える

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

近藤貴代(JA愛知厚生連知多厚生病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

認知症患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア
小林陽子

 

 

困難事例の誌上コンサルテーション

 

1 身体の痛みの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

祖父江正代

 

2 息苦しさによるつらさの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

志村知子

 

3 循環動態の安定のための安静と褥瘡ケアとの間で

ジレンマを感じるケース
志村知子

 

4 離床・自立と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース
木下幸子

 

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NT2014年8月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

1408hyoshiOLNT2014年8月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「チーム内で毎回のように新人からの

〝臨機応変な報告がない〟という
不満があがっています」

 

おそらく「臨機応変な報告」は「できる」の認識には微妙な相違があると思います。また、報告は仕事の力量が上がるスピードと比例するように経験を通して徐々に上達します。最も重要なことは報告・連絡・相談のスキルの育つプロセスについてチーム内の認識を一致させることではないでしょうか。

 

報告・連絡・相談のスキルは経験を通して学びとる

 

新人からよく「どんな小さなことでも報告をするようにと言われたので報告をすると『そんなどうでもいいことを多忙な今、報告しなくてもいい』と叱られた。そこで、忙しそうなので報告を控えていたら『報告をしない』と叱られ、頭がゴチャゴチャになりました」という悩みをよく聞きます。

 

一方で新人の時を振り返り、「私のプリセプターはどのような報告も受け止めてくださいました。ただ、私の報告を受ける様子があまり真剣ではない、受けた後の先輩が特別その情報を気に留めていないことから『今の報告はあまり重要ではなかったのかも』と気づくことがありました」と少しずつ報告をするスキルを身につけた様子を伝えてくれる先輩もいました。教えることは一時ですが、経験から本人が学びとるには数年かかります。

 

報告のラダーで成長段階を共有する

 

表1は、筆者が独自に作成して使用している報告・連絡・相談スキルのラダーです。

 

私たちは「相手にリクエストされた通りに報告する」から「仕事の状態を見て必要な情報を報告する」になり「チーム全体のことを思って自発的に報告をする」ことができることを一人前に育つと考えます。さらに上級者は「チームの人間関係までも考えて報告のタイミング、ルートや方法まで検討する」、熟達者は「世の中やチームの変化を察し、直感でチームや上司に必要な報告をしている」と言えるでしょう。まずはこの報告・連絡・相談のスキルの成長段階をチーム全体で共有することが必要です。(続く)

 

[著者]永井 則子(有限会社ビジネスブレーン代表取締役)

 

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