がん患者の3人に1人は働く世代であり、30万人以上が、仕事をもちながら治療を続けているといわれます。がん体験者の治療と仕事の両立を支えようと、医療現場でも就労支援が始まっています。新刊『がん体験者との対話から始まる就労支援』では、看護師が就労支援を行う上で必要な視点を解説。編者の小迫冨美恵さん、清水奈緒美さんに、本書についてうかがいました。
がん患者の3人に1人は働く世代であり、30万人以上が、仕事をもちながら治療を続けているといわれます。がん体験者の治療と仕事の両立を支えようと、医療現場でも就労支援が始まっています。新刊『がん体験者との対話から始まる就労支援』では、看護師が就労支援を行う上で必要な視点を解説。編者の小迫冨美恵さん、清水奈緒美さんに、本書についてうかがいました。
平成28年度診療報酬改定で「認知症ケア加算」が新設され、急性期病院では認知症患者の視点を尊重したケアが重視されるようになってきました。小社刊『多職種チームで取り組む 認知症ケアの手引き』は、加算要件となっている認知症ケアチームの活動や手順書作成について、わかりやすく解説しています。
これから認知症ケア加算を申請したいと考えている施設はもちろんのこと、すでに算定している施設にも、日々の実践や職員教育などに幅広くご活用いただけます。
■急性期病院での認知症患者への対応の現状
身体疾患で急性期病院に入院した高齢者が認知症だった、というケースは最近では珍しくないことでしょう。しかし認知症が社会問題となってからまだ日は浅く、これまで急性期病院では認知症に関してあまり意識されてこなかったため、急増している認知症患者の対応に苦慮している現状があります。
「治療優先」の急性期病院では、歩き回る、大声を出す、処置を拒否するなどの行為をする認知症患者に対して、仕方なく行動制限や身体的拘束などを行う場合もまだまだ見られます。
「緩和ケア対策」というと日本ではこれまでほぼ“がん”のみでしたが、ここ数年で行政は“がん”以外の疾患にも拡げる方向性を打ち出しました。「緩和ケア」=“がん”疾患患者とその家族のもの、ではなく、これからは生命に関わるすべての疾患に適用されるようになっていくでしょう。
今月のオススメ書籍は緩和医療関連本です。
と言いながら、ここでご紹介しているのはがん看護関連のものばかりです…。
そこでご案内です。
弊社の雑誌『コミュニティケア』6月号(6月1日発行)では、在宅におけるCOPD、脳卒中、心不全、腎不全、認知症など非がん疾患の緩和ケアを特集します。こちらも併せてご覧ください。
本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。
井部俊子さんから川越博美さんへの手紙
守備範囲の拡大
私たちの往復書簡も19回目になるのですね。そういえば連載初回の対談以来、一度もナマの川越さんにお会いしていないなと思いつつ、「刺激的で変化に富んだ今」を送っているあなたを想像しています。
75歳未満は准高齢者にしたらどうかと日本老年医学会が提唱していると、先日の新聞が報じていました。私は出産・子育てを経験していないので、今でも若者気分が抜けず、街を行く女子のファッションが気になり、自分ならあんな色づかいはしないわ、などとライバル意識(?)を燃やしたりします。そして、もうそんな年ではないことに気づき現実に戻るのです。世の中の高齢者は、何の抵抗もなく自分の老いを受け入れていくのでしょうか。私はまだ“否認”のステージに固着しています。
福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。
高齢者への支援を考える
自立支援から看取りまで
文:鳥海房枝
介護現場では、高齢者ができないことを介護者が“肩代わりしてあげる”のではなく、自身が行えるように支援する視点が重要と言われています。これが自立支援に結びつけられて、オムツ使用からトイレ誘導へ、経管栄養から経口摂取へなど、熱心に取り組む高齢者ケア施設が増えています。そして、オムツ使用者ゼロや食事の全量摂取、1日の水分摂取量1000〜1500mLなどをその成果として発表しているのを目にします。
私はこれらを取り組みの成果として聞きながら、その一方で、ここに死をどのように肯定的に位置づけて支援しているのかを聞きたくなります。なぜなら高齢者の暮らしの中で、死は特別なものではなく、命を生き抜いた先にあるものだからです。その意味で生と死は連続しています。