生理をタブー視している人にこそ読んでほしい─『#生理の貧困』

今年にわかに浮上した「生理の貧困」問題。その意外性のためか、あっという間に世間に広まり、それに押されるような形で多くの自治体が生理用品の無償配布を開始しました。

 

弊社では11月にNursing Todayブックレット・14『#生理の貧困』を刊行。

問題提起の発端になったZ世代の任意団体「#みんなの生理」をはじめ、この問題に深くかかわってきた6名の方にご執筆いただきました。

 

刊行後、「この本を読んで生理の貧困問題の概要がわかった」「生理の貧困問題について誤解していた」「自分に関係ないと思っていたが、そうではなく、社会問題だということを実感した」など多くの声が届いています。

 

その中で、生理の貧困に陥りやすい当事者世代の学生さんから、以下のような感想を送っていただきました。

 


私は生理をタブー視する側だったと思います。周囲の人が生理の話を普段の会話のようにしていたり、ナプキンを忘れてきた子がナプキン持ってる?と聞いてくることがあって、よくもまあそんなことが堂々と言えたものだと思っていました。共学校なのであまり男子には聞かれたくないという思いもあったのだと思います。

 

この本を読んで、確かに生理に関する知識不足は深刻だと思いました。生理中で授業中に眠くなった子が男性の先生から寝るなと怒られた話は何度も見てきたし、聞いてもきました。女性ならほとんどの人が生理を経験し、もはや人間ならば当然の生理現象なのに、理解されていないことは辛いことです。

 

ピルに関しても、生理痛に効くという話はこの本で知りました。学校の保健体育では避妊用としか教わりません。例えば学校で生理痛のためにピルを飲んでいる子がいると、周りは避妊していると勘違いする恐れもあります。

 

生理に関する広い認知は義務教育の間で行われるべきだと強く思いました。全ての女性が安心して生理を経験できるように願っています。


 

いまも昭和時代とあまり変わらないような状況であることに衝撃を受けましたが、平成も終わり令和の時代になってようやく、「こんな状況はおかしい」と声をあげる人が次々と登場し、それが大きな後押しとなって社会を動かした──これはすごいことだと思います。

 

このムーブメントを今だけの一過性のもので終わらせないことが、今後の大きな課題といえるでしょう。

 

 

「生理の貧困」に関するアンケート調査を実施中★

2022年1月10日(月・祝)締切

→ 締め切りました。

たくさんのご回答ありがとうございました。

 

 

#生理の貧困

──#PeriodPoverty

 

★詳しい内容のご紹介はこちら

★ご購入はこちらから

 

#みんなの生理(福井みのり)・ヒオカ・吉沢豊予子・田中東子・田中ひかる・河野真太郎 著

●A5判 64ページ

●定価990円(本体900円+税10%)

ISBN 978-4-8180-2364-2

 

「化粧品は買えるのに、ナプキンは買えないのか」…(?!)

 

コロナ禍で生活困窮者が増加するなか、経済的理由で生理用品を購入できないことを訴えるハッシュタグ付きツイート「#生理の貧困」が話題となりました。
この「生理の貧困」問題は、SNSでの発信後すぐに人々の間に広がり、やがて行政・企業等を巻き込んで社会を動かしました。一方で、「たった数百円のナプキンが買えないなんておかしい」「女性優遇だ」などのバッシングが、男性だけでなく女性からも起こっています。「生理の貧困」を経済的な問題と捉える人は多いですが、それだけなのでしょうか?
本書では、経済・社会学・医学・教育・ジェンダー・メディアなど様々な側面からこの問題を考察しました。。

 

 

内容 

「生理の貧困」アンケート調査結果にみる現状とこれから(#みんなの生理 福井みのり)

「生理の貧困」問題の可視化から見えてきたもの(ヒオカ)

月経情報から知る女性の健康(吉沢豊予子)

「#生理の貧困」とSNS──日本で起きているバッシングを考える(田中東子)
タブー視されてきた「生理」が語られる時代に(田中ひかる)
生理の貧困を「僕たち」の問題にできるか(河野真太郎)

 

 

豪雨・水害に対する病院設備の備え~医療福祉建築フォーラム2019より

一般社団法人 日本医療福祉建築協会は、医療福祉建築に関する研究・計画・設計者と他分野の人々が、ともに学び、考える場として、毎年「医療福祉建築フォーラム」を開催しています。

 

9月19日・20日に行われた「医療福祉建築フォーラム2019」から、「平成30年自然災害による病院の被害状況と事業継続に関する調査研究」報告のうち、「豪雨・水害に対する病院設備の備え」に関する講演内容をご紹介します。

 

2017年九州北部豪雨の被害の様子[イメージ写真]

 

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「認知症の語り」の教育的活用を考える

書籍『認知症の語り』は第1部と第2部に分かれています。第1部は認知症のご本人とご家族による語りのパートで、本書の核となる部分です。第2部は第1部の解説編的な性質をもつものです。

 

本書のもとになった「認知症本人と家族支援のためのWebサイト」プロジェクトの研究代表者・竹内登美子氏は、当プロジェクトの趣旨の1つに「人々の認知症に対する偏見が改善し、“認知症とともに暮らす生活者”としての理解を深めてもらう」ことを挙げています。

 

人々の認知症に対する偏見に、「アルツハイマーになると人格がなくなる。何もわからなくなる」というものがあります。

次の語りは、それに対する本人の思いです。
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【編集部オススメBOOKs】vol.24 看護の本質とは何か――年のはじめに改めて振り返る

早いもので今年も残すところあとわずかです。

いつもは忙しくて、本を読む時間も気力もない……という方でも、年末年始は比較的ゆっくり過ごせる、ということもあるかもしれません。

年の初めに、新たな気持ちで「看護の原点」について振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

※これまでの「編集部オススメBOOKs」はコチラ

 

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病いで苦悩の状態にある人に安楽をもたらす看護の技

他の医療職と看護職が大きく異なるのは、看護職は24時間患者さんの傍らにいる専門職だということです。常に患者さんに寄り添っているからこそ見えてくることがあるはずです。

 

忙しそうな医療者に遠慮して、痛くてもがまんしている患者さん、悩みを抱えているのだけれども誰にも話せず一人で抱え込んでいる患者さん……

そんな様子がうかがえたら、そっと患者さんに触れたり、ただ黙って側にいてみるだけで、もしかするとその人は少し安心するかもしれません。

 

今回のオススメ書籍は、看護職ならではの安楽をもたらすワザを紹介した本を集めました。

 

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