日本放射線看護学会が第11回学術集会をオンライン開催 書籍『「チーム医療」とは何か』の著者・細田美和子氏が特別講演

2022年9月17~18日、日本放射線看護学会第11回学術集会がオンライン(リアルタイム配信・オンデマンド配信)で開催された。放射線看護の実践や被ばく・災害対応について議論されたほか、最新の放射線診療についての情報を提供するための「市民公開講座」も開催された。

会長の桜井礼子氏(東京医療保健大学立川看護学部教授)は今学術集会のテーマである「Clientoriented radiological nursing~放射線看護が挑むイノベーション」について講演した。放射線診療を受ける患者・家族ら対象者本位(client-oriented)の実践のためには「チーム医療」と「意思決定支援」が重要であり、「看護職はキーパーソンとしての役割を担う」と指摘。がん放射線療法看護認定看護師や2022年2月に分野特定された放射線看護専門看護師の活動にも期待を寄せた。また、安全管理体制の構築には看護職の現任教育の充実が必須とし、「看護管理者のマネジメントが求められる」と述べた。

星槎大学大学院教育学研究科教授・細田満和子氏による特別講演「変革し続ける医療におけるチーム医療」では、チーム医療を構成する要素や患者と専門職との関係性について、社会学の視点から解説された。細田氏は「患者の医療参画がかつてないほど重要となってきている」と話し、病や障害とともに生きる患者の姿を紹介。患者を社会で支える基盤をつくるためには、地域を含めた多職種による「エンゲージメント」(それぞれの立場から支援し、患者と双方向にかかわり合うこと)が重要になるとした。

シンポジウム「看護職にかかわる放射線防護の“今”と“これから”」では、放射線防護方策や、2020年に同学会が公表した「看護職のための眼の水晶体の放射線防護ガイドライン」について報告があった。

さらに、放射線リスクコミュニケーションや原子力災害、がん医療での放射線治療・看護などをテーマに、2日間にわたり活発な議論が展開された。次回は2023年9月9~10日に長崎にて開催予定。

 

「看護」2022年12月号 NEWS FLASH より

 

「チーム医療」とは何か 第2版
患者・利用者本位のアプローチに向けて

細田満和子 著
A5判/280ページ
定価:2,750円(本体2,500円+税10%)
ISBN 978-4-8180-2361-1

 

 

 

 

 

 

災害に強いステーションづくり

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

最新の防災気象情報をおさえる

 

尾崎 里奈

おざき りな

 

防災気象PRO株式会社(TeamSABOTEN)

気象防災アドバイザー・気象予報士

 

 

近年の自然災害と未来の懸念

 

「こんな大雨は経験がない」「まさか川があふれるなんて」—気象災害報道でよく耳にする被災者の声です。気象予測の現場でも「本当にこんなに降るのか?」とコンピューターの数値予報に一瞬疑念を持ったことがあります。山地が多く河川が急峻な日本はもともと自然災害が発生しやすいため、著しい大雨災害は大昔から起きていたかもしれません。では、私たちが感じる「最近の大雨はひどい」という感覚は間違っているのでしょうか。

 

気象庁の統計によると、1時間雨量50mm以上の年間発生回数は増加傾向であることがわかっています。約40年前の約1.4倍に増えています1)。1時間50mmの雨というのは、滝のように降り、車の運転が危険なレベルです。このほか日降水量200mm以上および400mm以上の大雨の年間日数も増えていることがわかっており2)「最近の大雨はひどい」という私たちの感覚はあながち間違いではないようです。

 

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住民の“生きる”に伴走 進化を続ける地域ケアシステム「幸手モデル」

地域包括ケアシステムの先進事例として、全国から注目されている「幸手モデル」。地域住民とともにこのモデルをつくった筆者の医師としての歩みを振り返り、幸手モデルの本質に迫ります。

ケアシステムの未来を

妄想してみる

 

 

最終回となる本稿では、私が考える未来のケアリング(以下:ケア)の制度・政策を妄想してみたいと思います。連載の後半で述べてきた当地域のケアシステムである「幸手モデル」は、生活モデル的支援*1(以下:生活モデル)の地域包括ケアシステムです。まだ完成には程遠い状況ですが、読者には、現在主流となっている一般的な社会保障モデル的支援*2(以下:社会保障モデル)の地域包括ケアシステムとは相当の違いを感じたのではないでしょうか。

 

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だから面白い訪問看護管理

西宮市訪問看護センター(兵庫県西宮市)は3カ所のサテライト事業を展開するステーション。山﨑和代さんに、管理者としての日々の思い・考えを語っていただきます。

 

 

⓲コロナ禍における

職員間のコミュニケーション

 

山﨑 和代

社会福祉法人西宮市社会福祉事業団

訪問看護課 課長/訪問看護センター 管理者

認定看護管理者

 

 

当センターでは、コロナ禍を機に非対面であっても職員間でコミュニケーションをとれるように有料の「チャットアプリ」を導入しました。電子カルテの導入のときと比べると、スタッフはこのツールに順応するのが早かったように感じました。その理由は何だったのでしょうか。

 

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災害に強いステーションづくり⓮

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

地域における

BCP連携の必要性①

 

山岸 暁美

やまぎし あけみ

慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 講師

一般社団法人コミュニティヘルス研究機構 機構長・理事長

 

 

今号と次号にわたって、災害対応マニュアルとBCPの違いを解説した上で、地域におけるBCP連携の必要性について述べていただきます。

 

はじめに

 

令和3年度介護報酬改定により義務づけられた業務継続計画(Business Continuity Plan: BCP)策定の猶予期間3年のうち、1年が経ちました。少し焦り始めている読者もいるかもしれません。しかし、BCPは最初から完璧にはできません。また、つくって終わりにしてもいけません。つくったBCPをシミュレーション訓練で評価し、改良を重ねて育てていくこと、このプロセスこそが最も大事なのです。

 

また、自事業所のBCPはもちろん必要ですが、地域を面として捉え、近隣の訪問看護事業所等との連携により、医療・ケアを継続するという視点も非常に重要です。今回、BCPとは何かという説明に加え、このことについて詳しく解説します。

 

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