感染症医として、メディア・著書などをとおしてCOVID-19の感染対策の状況分析・提言を行うとともに、COVID-19患者の治療に当たる岩田健太郎さんに、日本の対策・今後の見通しや、今、訪問看護師が考えるべきことについて伺います。
岩田 健太郎さん いわた けんたろう
神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野 教授
神戸大学医学部附属病院感染症内科 診療科長/教授
1997年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。沖縄県立中部病院、米国ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンターに勤務。2003年に中国に渡り、SARS流行時の北京でクリニック医師を務め、アフリカではエボラ出血熱の臨床を経験する。帰国後は、亀田総合病院で感染症科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任。2008年より現職。日本感染症学会感染症専門医・指導医、米国感染症専門医など。著書多数。近著に「新型コロナウイルスの真実」(KKベストセラーズ)、「感染症は実在しない」(集英社インターナショナル)など。
日本の感染拡大防止策
—3〜5月に日本が行ったCOVID-19の感染拡大防止策について、どのように評価されますか?
日本では 、3月初めまでは、全国的に発生していた小規模なクラスターを追跡して患者の診断と治療に当たるとともに、濃厚接触者を検査するといった対策を行っていました。これは、いわば起きている現象を後ろから追いかけて捉えるという方法です。
しかし、3月下旬くらいからは、特に東京などで感染者が増えて、これまでの方法では追いつかなくなりました。そこで、4月7日に緊急事態宣言を発令してコミュニティに自粛を促しました。つまり、感染拡大に先回りして予防するという対策へと変換されたわけです。