患者の望む在宅医療を実現する退院支援(3)

 

オレム・アンダーウッドのセルフケアプログラムの実践技法を再体系化した最新セルフケアプログラムの概要と援助関係の展開方法、「PASセルフケアセラピィ」の活用法について紹介します。

 

 

最新セルフケアプログラム③

ケース・フォーミュレーション

 

宇佐美 しおり

式会社ソラヒロ訪問看護ステーションそらひろ 管理者

セルフケア実践教育研究所 代表

精神看護専門看護師

 

今号では、最新セルフケアプログラムの第3回目として「ケース・フォーミュレーション」について述べます。ケース・フォーミュレーションとは、前号で紹介した総合アセスメントを基にセルフケア上の目標を定め、ケアを組み立て、セルフケアプログラムを展開することです。これは看護において重要な機能の1つです。

ケース・フォーミュレーションとは

日本におけるケース・フォーミュレーション

 

ケース・フォーミュレーションは、最新セルフケアプログラムを展開する上で欠かせないものです。

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コンサルテーションを看護に活かす

新連載(1)

コンサルテーションとは

 

野末 聖香

 

 

医療が高度化し、人々の価値観が多様化している現代において、1人ひとりの患者に沿った看護を実践するには、さまざまな専門性を持つ看護職間で、また多職種間で連携し、異分野の知識や技も柔軟に取り入れながら、個別的で統合的な支援を提供することが求められます。その実現のためには、連携し、協働する力を身につけることが必須であり、連携・協働の形の1つが、本連載で紹介する「コンサルテーション」です。
これから3回にわたり、看護においてコンサルテーションがなぜ有用なのか、その定義、目的、方法、留意点などについて、事例を交えながら述べていきます。

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宮子あずさの気まぐれコラム

精神科病院で働きながら、文筆活動を行う宮子あずささん。最近気になること、疑問に思うことなどを書きつづります

 

(38)豊胸手術の問題

 

 

母はヒトアジュバント病だった

 

昔、一緒に働いていた呼吸器内科の医師から、こんな話を聞きました。

 

「間質性肺炎の女性の中には、豊胸手術をしていた患者がけっこういるんですよ。特別な仕事の人じゃない、普通の主婦も多くて、驚きました」

 

名づけてヒトアジュバント病。大まかな定義は、「通常美容目的に使用されたパラフィンやシリコンなどの異物が体内に長期存在することにより膠原病類似の病態を呈する疾患」。検索すると研究論文も多数見つかります。

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地域で活躍する薬剤師が解説! おくすりガイド

多くの在宅療養者が服用している治療薬を中心に、副作用とその兆候、保管・管理方法、効果時間・代謝、注意点などを、事例を交えながら解説します。

 

 

 

 

(10)

 

保湿剤の使い方:林田 諭

 

 

前回(2023年12月号)は「高齢者における不眠症と睡眠導入剤の適正使用」について解説しました。今回は「保湿剤の使い方」をテーマに解説します。

 

保湿剤の特徴

 

保湿剤は作用機序から大きく2つに分類できます。皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、皮膚に柔軟性や滑らかさを与える「エモリエント」と、皮膚に浸透して水分を保持する「モイスチャライザー」で、一般的に保湿効果はエモリエントのほうが高いとされています。

 

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スペシャリストの実践知(38)

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

(38)呼吸器疾患

 

独居とうつ病の不安を抱える
COPD患者への支援:安藤 正子

 

 

「みなみ東京訪問看護ステーション」は2011年に開設し、今年で12年目を迎えます。訪問介護事業所、居宅介護支援事業所を併設し、訪問看護では約130名の利用者に月1000時間以上の訪問を実施しています。難病、がん、呼吸器疾患、老衰など、利用者の状態もさまざまです。中でも慢性呼吸器疾患の利用者は数多くの併存症を持っているため、本人・家族と主治医のみならず、その他の専門医やかかりつけ医、病院の看護師、作業療法士、理学療法士、ヘルパー、ケアマネジャー、包括支援センター等と連携をはかり、利用者のよりよい生活の実現をめざしています。

 

本稿では、独居で不安が強く、在宅酸素療法(以下:HOT)や非侵襲的陽圧換気療法(以下:NPPV)の導入と継続に苦慮したCOPDの事例を報告します。

 

うつ病による不安が強い最重症COPDのAさん

 

事例:Aさん/70代女性/COPD(ステージ4)・骨粗しょう症・うつ病・不眠症/要介護3

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