人事労務相談室❷

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で

生じやすい人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

採用で失敗しないコツ①
面接でマインド(考え方)を見抜く

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

 

コロナ禍において世の中の雇用情勢は一変したとはいえ、医療・介護業界では、人手不足が続いており、すでに「採用できない」ことが一番の悩み事になっている事業所も少なくないでしょう。社会保険労務士として事業所を回る中で、経営者・採用担当者から「採用が難しく、人材紹介会社からの採用が中心になっている」という声を聞きます。一方で、高い紹介料に苦しんでいる事業所、また紹介料を支払って採用したにもかかわらず期待外れの人材だったり、早期に退職となったり、悩みのつきない事業所も多いようです。さらにこの採用難が「採用の失敗」を生み出す、負のサイクルも見過ごせません。採用の失敗とは、期待能力を大幅に下回る人材や社会人として問題のある人材を採用してしまう、いわゆる採用のミスマッチのことです。

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SPECIAL INTERVIEW 『「暮らしの保健室」ガイドブック』が刊行 “社会的処方”として注目したい「よろず相談所」

秋山 正子 さん

(あきやま・まさこ)

 

暮らしの保健室 室長/認定NPO法人マギーズ東京 センター長

NPO法人白十字在宅ボランティアの会 理事長

 

秋田県出身。聖路加看護大学卒業後、臨床及び看護教育に従事。実姉の末期がんの看取りを経験したことで、1992年から東京都新宿区にて訪問看護を開始。2011年「暮らしの保健室」開設。2015年看護小規模多機能「ミモザの家」開設。2016年がん患者と家族のための相談支援の場「マギーズ東京」を開設

 

「やってみたいと思ったとき、それは“手の届くところ”にあります!」と秋山正子さんが声かけをしたコミュニティケア 2019年6月臨時増刊号『「暮らしの保健室」のはじめかた』は大きな反響を呼び、早々に品切れに。そこで大幅な追記と新たな保健室からの報告で60ページ増やし、『「暮らしの保健室」ガイドブック』として書籍化しました。秋山さんら編集企画委員「くらほチーム」の皆さんに、あらためて本書のおすすめポイントをうかがいました。

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【Book Selection】新人看護師におすすめ書籍4選

当社おすすめ書籍を、新刊・既刊・古典織り交ぜてご紹介!!

 

看護の本質・奥深さを感じられる書籍を集めました

 

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SPECIAL BOOK GUIDE 看護職の持つ可能性を最大限に発揮する ナイチンゲールの「越境」が看護にもたらしたもの


クリミアでの活躍で一躍英雄となったナイチンゲールは、類まれな知力・思考力・行動力で公衆衛生改革に邁進し、また看護教育制度の確立に努め、それまで卑しい職業と思われていた看護師のイメージ像を飛躍的に向上させました。一方で、「歴史上初の病院建築家」「統計学の母」とも言われるように、彼女の活躍は「看護」にとどまりません。ナイチンゲールが確固たる信念の下に行った既存の枠からの「越境」は、看護にどのような影響を与えたのかについて考えます。

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災害に強いステーションづくり(3)

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

災害対応の基本③

命を守るための災害情報

 

寺田 英子

てらだ ひでこ

災害看護専門看護師/認定看護管理者

 

 

自分の命は自分で守る

 

前号では、災害が発生した際のスタッフの「自助」の重要性について解説しました。「自助」は他者を助ける「共助」のベースになります。そのため、スタッフ1人ひとりが「自分の命は自分で守る」ことを優先して判断・行動ができるようにしておくことが大切です。

 

訪問看護ステーションのスタッフは、車や自転車などの手段で地域に出向いて働いており、勤務時間のほとんどを外で過ごしています。また、事業所・利用者宅の立地やその場に着くまでの移動経路はさまざまで、海や河口に近い場所では大地震により津波に襲われたり、山間部や急傾斜地では、大雨により土石流などの土砂災害に巻き込まれたりする可能性があります。地域に密着した訪問看護ステーションだからこそ、事業所や周辺地域、訪問地域の災害リスクを把握し、起こり得る災害を予測することが災害対策の第一歩になります。

 

しかし、人は「ここまで津波がきたことがない」など過去の経験に基づいた災害の危険性に対する誤った認識や、「自分だけは大丈夫なはず」などの思い込み(正常性バイアス)、砂防ダムなどのインフラへの過度の信頼などによって避難が遅れることがあります。

 

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