行動変容をそっと促す ナッジを使ったアプローチ①

ナッジとは、人の心理特性に沿って望ましい行動をしたくなるように促す設計のこと。この連載では、3人の医療職をめざす学生がナッジを学ぶ姿を通して、看護・介護に役立つヒントを示します。

 

頭でわかっているのに

行動できないのはなぜ?

 

竹林 正樹

たけばやし まさき

青森県立保健大学 博士/行動経済学研究者

 

 

相手を動かすということ

 

竹林 相手に望ましい行動をしてもらおうとしたけれどうまくいかなかった、という経験はありますか?

 

難波 私のまわりで、病気がひどくなるまで受診しない人がいて……。

 

竹林 最先端の治療方法が確立されても、患者が受診しないと医師は治療の提案すらできません。特に看護や介護では、心身の健康のために相手の行動変容を促したいと考える場面は多いでしょう。この連載では、「科学的根拠に基づいて人を動かす方法」を学んでいきます。人を動かす方法には、大きく分けて4つの段階があります1) 。
①正しい情報の提供(普及啓発)
②行動したくなる環境の整備(ナッジ)
③褒美と罰の設定(インセンティブ*1)
④選択の制限(強制)

 

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人事労務相談室❿

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で生じやすい

人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

“問題スタッフ”への
事業所の対応②

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

 

 

前回は、“問題スタッフ(できることなら退職してもらいたいスタッフ)”が出現した場合の「初動」の対応法について紹介しました。ここで言う問題スタッフの出現とは、「素行が悪い」「能力不足」「勤怠不良」などのスタッフを雇い入れてしまったとき、またはスタッフにこれらが見られるようになったときです。前回のおさらいをすると、初動対応のポイントは以下の通りです。

 

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【Book Selection】看護管理者おすすめシリーズ紹介

当社おすすめ書籍を、新刊・既刊・古典織り交ぜてご紹介!!

 

 

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SPECIAL INTERVIEW 医療職・当事者の視点から健康や病いをみる『「チーム医療」とは何か 第2版』が刊行 

細田 満和子さん(ほそだ・みわこ)

星槎大学大学院教授

 

1992年東京大学文学部社会学科卒業。2002年同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院アソシエイト、ハーバード公衆衛生大学院フェローを経て現職。専門は社会学、医療社会学、生命倫理学、公衆衛生学。著書に『脳卒中を生きる意味』(青海社)、『パブリックヘルス 市民が変える医療社会』(明石書店)など。

 

 

医療社会学者としてのフィールドワークをもとにチーム医療の理念と現実を明らかにした『「チーム医療」とは何か』が、9年ぶりに改訂されました。チーム医療を構成する「4つの要素」とチーム医療がうまくいかない「6つの困難」の考察に加え、第2版では地域・在宅医療への移行、看護の専門性の高まり、当事者の医療参画などの新たな実践を紹介しています。著者の細田満和子さんに、社会学の視点からみた「チーム医療」と本書の読みどころについてうかがいました。

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SPECIAL BOOK GUIDE 「それくらい」「でも逆に…」と言わせない─Nursing Todayブックレット14 『#生理の貧困』 を読んで

「生理の貧困」というとまず経済的な困窮状態を想像しますが、それだけではなく、この問題は虐待、性教育の不足、ジェンダー格差、生理のタブー視など様々な要素が複雑に絡んでいます。しかし経済問題だけに焦点を当て、「化粧品は買えるのに、ナプキンは買えないのか」「女性優遇だ」等々の声があるのも事実で、捉え方は千差万別のようです。ジェンダー関連の著書も多いライターの武田砂鉄さんに、男性からみた「生理の貧困」問題について論じていただきました。

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