ナッジとは、人の心理特性に沿って望ましい行動をしたくなるように促す設計のこと。この連載では、3人の医療職をめざす学生がナッジを学ぶ姿を通して、看護・介護に役立つヒントを示します。
どんな認知バイアスがあるの?
竹林 正樹
たけばやし まさき
青森県立保健大学 博士/行動経済学研究者
疲れると認知バイアスの制御が難しい
竹林 前号では、認知バイアスに沿って禁煙を促すアプローチを紹介しました。脳には「直感」と「理性」の2つのシステムがあり、直感は象のように本能的で力が強く、一定の癖(認知バイアス)が生じやすいです。一方、理性は認知バイアスを制御する役割があるものの、疲れるとあまり機能しなくなります。冒頭の4コマ漫画で城戸さんがケーキに手を伸ばしたのは、数字の暗記に頭が疲れ、理性がうまく機能しなくなったからといえます1)。頭が疲れると、直感的に甘いものが食べたくなります2)。
城戸 栄養の大切さを伝えるとき、あまり頭を使わせる内容にすると、相手は帰りにケーキを食べたくなるかもしれないのですね。