災害に強いステーションづくり(21)

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

日常的な対策で、災害に強いステーションをつくる

 

真柄 和代

まがら かずよ

 

公益財団法人筑波メディカルセンター
訪問看護ふれあい・サテライトなの花 統括管理者

 

 

「平成27年9月関東・東北豪雨」の被災経験から

 

2015(平成27)年9月9日から11日にかけて、関東・東北地方を襲った豪雨は、鬼怒川を氾濫させ、茨城県常総市の広範囲に水害をもたらしました。当時、筆者が勤務していた訪問看護ステーションの事務所も浸水し、社用車やカルテも泥水によって大きな被害を受けました(写真1)。幸い、利用者とその家族、職員は全員無事でしたが、職員が緊急退避中に浸水域に取り残され、人的な被害を受けました。水害の恐ろしさを経験し、その後、日本全国で発生する豪雨被害をテレビ等で目にするたびに、この地域のステーションは無事だろうか? 利用者は避難できたのだろうかと考えます。

 

 

現在はニュースでたびたび耳にする線状降水帯という予報用語や、避難情報に関する用語など、その当時の私は何も知りませんでした。つらい経験から管理者としての防災意識の希薄さを反省し、防災に関する学習を重ね、災害対策の見直しに着手しました。また、災害は過去の経験値を超えて、予測不可能な重大な被害を日本全国にもたらしています。訪問看護は利用者の生活に欠かせないサービスであるからこそ、災害時の事業継続は欠かせません。

 

2021年度介護報酬改定において「感染症や災害への対応力強化」が求められ、2024年には事業継続計画(以下:BCP)の策定と必要な措置、研修、訓練の実施が義務化されます。管理者は、災害に強い訪問看護ステーションをつくっていかなければならないのです。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2023年2月号)