人事労務相談室(18)

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で生じやすい

人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

 

パワーハラスメントへの
事業所の対応⑦

行為者へのヒアリングと対応

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

 

 

前回は、パワハラの相談対応の基本的な流れと相談者への一次対応(ヒアリング)の留意点を紹介しました。今回は、相談者へのヒアリング後に行う、行為者へのヒアリングでの注意点、また、パワハラの事実確認ができなかった場合とできた場合の事業所の対応について解説します。

 

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だから面白い訪問看護管理

大学教授から転身し「らふえる訪問看護ステーション」を開設。10年を経た今、訪問看護の未来を見すえて管理者としての思い・考えを語っていただきます。〈筆者が変わりました!〉

 

 

自由な発想でステーションを経営

 

林 啓子

株式会社らふえる 代表取締役
らふえる訪問看護ステーション 管理者
一般社団法人茨城県訪問看護事業協議会 会長

 

 

訪問看護の経験ゼロでステーションを開設

 

今号から2年間、このコーナーを担当する林啓子です。私は茨城県土浦市で訪問看護事業を営み、株式会社らふえるの社長とらふえる訪問看護ステーション(以下:らふえる訪看)の管理者を兼任しています。

 

らふえる訪看の営業地域は茨城県南部の土浦市・つくば市・牛久市・阿見町で、結構広域なので移動は車です。都市部と農村部が混在している地域で、阿見町には自衛隊駐屯地があります。土浦市・牛久市・阿見町の高齢化率は、全国平均と同程度。一方、大学や研究機関が集まっているつくば市は学生や研究者が多く、高齢化率は全国平均を大きく下回ります。東京へは車でも電車でも約1時間の距離で、都内への通勤者のベッドタウンとして開発が進み、多種多様な生活背景を持つ人々が住んでいます。

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折々のはなし⑦

教育現場の立場から角田直枝さん、在宅現場の立場から大槻恭子さん、福祉現場の立場から鳥海房枝さんに、日々考えていること・
気になっていること・感じていることなどを述べていただく私的エッセイ。

 

 

 

角田 直枝

かくた なおえ

常磐大学大学院看護学研究科

 

病院・訪問看護ステーション勤務をはじめ、日本訪問看護振興財団の認定看護師教育課程訪問看護学科などで教育に携わる。2010年より茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター看護局長を12年間勤め、2022年3月に退職。同年4月より現職。がん看護専門看護師、特定行為研修修了者。

 


 

実習は、学生も教員も、いろいろと気づくなぁ

 

最近、だいぶ寒くなってきましたが、皆さんはお変わりなくお過ごしでしょうか。今年は6月下旬の猛暑とか、東北の長雨など、気候の心配事が続いていますね。また、新型コロナももうずっとこのままではないかと思うくらい、感染の拡大と一時的な落ち着きとを繰り返しています。

 

大学では、3年生の実習がこの秋から続いています。私が担当しているのは主として急性期実習なので、3週間を1クールとした病院実習となります。社会の感染拡大や個々の学生の感染により、次の実習ができなくなるのではと、いつもはらはらしています。学生に行動に注意するよう指導している立場から、私自身も、職場と家の往復と日常の買い物程度の行動に留めています。しかも、週1日は病院での勤務を続けていることからも、人混みや遠方への外出は避ける自粛生活です。

 

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職員が辞めない組織をつくる!⑤

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。

 

 

組織を“壊す”
否定の言葉

 

横山 郁子

よこやま いくこ

株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 会長

 

 

 

言葉の持つ「力」

 

離職率が高いステーションにはいくつか特徴がありますが、その中の1つに「管理者が否定的な言葉を頻繁に使用する」ことが挙げられます。否定的な言葉は相手を傷つけるだけでなく、管理者にそうした言葉を投げかけられた職員は“否定されないための行動”をとるようになります。その結果、職員は管理者の意図しない行動をとったり萎縮したりするようになり、最終的に退職につながることがあります。それを避けるためにも、管理者はコミュニケーションのとり方に留意する必要があります。

 

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特別寄稿 「老人訪問看護ステーション」の誕生から30年 制度前夜のバトルロイヤルから訪問看護普及と“業界”確立まで

訪問看護制度のなかった時代から地域で実践を重ね、制度創設後は日本看護協会常任理事を務めるなど、ステーションの設立拡大、訪問看護の普及、訪問看護師の養成等にかかわってきた山崎摩耶さんに、制度創設からの30年を概観いただきます。

 

 

「老人訪問看護ステーション」の誕生から30年

制度前夜のバトルロイヤルから訪問看護普及と“業界”確立まで

 

山崎 摩耶
やまざき まや
前衆議院議員/元日本看護協会 常任理事

 


筆者略歴

元日本看護協会常任理事、元日本訪問看護振興財団、元全国訪問看護事業協会常任理事。旭川医科大学客員教授、岩手県立大学看護学部教授、旭川大学特任教授を歴任。2009年衆議院総選挙に北海道比例で初当選。衆議院議員2期を務める。主に厚生労働委員会等で活躍。近著は『世界はチャレンジにあふれている 高齢者ケアをめぐるヨーロッパ&中国紀行』を日本医療企画から出版。その他、著書・論文多数。http://maya-net.jp/


 

私たちの前に道はなかった——。1970年代から20年間、地域という荒野で実践しながらその必要性を言い続けたパイオニアたちの歩みで踏みしめられた道ができ、1991年に訪問看護ステーションは制度化されました。「ようやく、これで欧米に肩を並べられる」と、深い感動が込み上げました。

 

それから30年、地域包括ケアシステムの中核になった訪問看護は、市民の選択に不可欠な社会共通資本(サービス)となりました。本稿では、制度創設から訪問看護の普及と進化発展までを秘話を交えて紹介します。

 

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