トシコとヒロミの往復書簡 第20回

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

川越さんイラスト

川越博美さんから井部俊子さんへの手紙

人の変化を見守る
文:川越博美


私たちが往復書簡を始めて2年近くになるのですね。私が現場で腑に落ちないことをぶつけては井部さんに諭されてきたような気がします。ナマの川越をいつかまじまじと見てくださいね。頭は白髪で顔には皺……でも若い看護師たちと一緒に働き、地域の人々と新しいことにチャレンジしています。私もナマの井部さんにお目にかかりたいと思っていたら、井部さんの最終講義があることを知りました。「しめた」と思い手帳を開けたら、ほかの予定が入っていてチャンスを逃しました。聴講した友人が、マネジメントについての講演だったと教えてくれました。
マネジメントは、病院の看護職だけでなく訪問看護師にも必要な能力です。しかし、ケアマネジャーが登場して以来、訪問看護師にマネジメント能力が問われなくなってきた気がします。訪問看護師には本来、ケアマネジメントに加え、事業所のマネジメント、チームのマネジメント、地域のマネジメントなど重要な役割が課されているというのに。いつか井部さんに、地域の看護師を対象にマネジメントについて話してほしいと願っています。
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SPECIAL INTERVIEW 相談支援のエキスパートとして考える看護師による がん体験者の就労支援

 

小迫冨美恵さん(写真右) (こさこ ふみえ)
横浜市立市民病院 看護部
がんセンター担当副部長 がん専門相談員/
がん看護専門看護師
清水奈緒美さん(写真左) (しみず なおみ)
神奈川県立がんセンター
緩和ケア・患者支援部 患者支援センター
相談支援担当科長 がん専門相談員/
がん看護専門看護師

がん患者の3人に1人は働く世代であり、30万人以上が、仕事をもちながら治療を続けているといわれます。がん体験者の治療と仕事の両立を支えようと、医療現場でも就労支援が始まっています。新刊『がん体験者との対話から始まる就労支援』では、看護師が就労支援を行う上で必要な視点を解説。編者の小迫冨美恵さん、清水奈緒美さんに、本書についてうかがいました。

 

 

 


SPECIAL BOOK GUIDE 認知症ケア加算算定に活用できる 『多職種チームで取り組む 認知症ケアの手引き』刊行―急性期病院での認知症患者のケアの質向上に!

 

平成28年度診療報酬改定で「認知症ケア加算」が新設され、急性期病院では認知症患者の視点を尊重したケアが重視されるようになってきました。小社刊『多職種チームで取り組む 認知症ケアの手引き』は、加算要件となっている認知症ケアチームの活動や手順書作成について、わかりやすく解説しています。

 

これから認知症ケア加算を申請したいと考えている施設はもちろんのこと、すでに算定している施設にも、日々の実践や職員教育などに幅広くご活用いただけます。

 

■急性期病院での認知症患者への対応の現状

 

身体疾患で急性期病院に入院した高齢者が認知症だった、というケースは最近では珍しくないことでしょう。しかし認知症が社会問題となってからまだ日は浅く、これまで急性期病院では認知症に関してあまり意識されてこなかったため、急増している認知症患者の対応に苦慮している現状があります。

 

「治療優先」の急性期病院では、歩き回る、大声を出す、処置を拒否するなどの行為をする認知症患者に対して、仕方なく行動制限や身体的拘束などを行う場合もまだまだ見られます。

 

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【今月のオススメ書籍】 患者さんの痛みを和らげ心身のQOLの向上を目指す―緩和医療関連本

「緩和ケア対策」というと日本ではこれまでほぼ“がん”のみでしたが、ここ数年で行政は“がん”以外の疾患にも拡げる方向性を打ち出しました。「緩和ケア」=“がん”疾患患者とその家族のもの、ではなく、これからは生命に関わるすべての疾患に適用されるようになっていくでしょう。

今月のオススメ書籍は緩和医療関連本です。

 

「今月のオススメ書籍」

 

と言いながら、ここでご紹介しているのはがん看護関連のものばかりです…。

 

そこでご案内です。

弊社の雑誌『コミュニティケア』6月号(6月1日発行)では、在宅におけるCOPD、脳卒中、心不全、腎不全、認知症など非がん疾患の緩和ケアを特集します。こちらも併せてご覧ください。


トシコとヒロミの往復書簡 第19回

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

井部俊子さんから川越博美さんへの手紙

守備範囲の拡大

文:井部俊子

 

私たちの往復書簡も19回目になるのですね。そういえば連載初回の対談以来、一度もナマの川越さんにお会いしていないなと思いつつ、「刺激的で変化に富んだ今」を送っているあなたを想像しています。

 

75歳未満は准高齢者にしたらどうかと日本老年医学会が提唱していると、先日の新聞が報じていました。私は出産・子育てを経験していないので、今でも若者気分が抜けず、街を行く女子のファッションが気になり、自分ならあんな色づかいはしないわ、などとライバル意識(?)を燃やしたりします。そして、もうそんな年ではないことに気づき現実に戻るのです。世の中の高齢者は、何の抵抗もなく自分の老いを受け入れていくのでしょうか。私はまだ“否認”のステージに固着しています。

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