「People-Centered Care(PCC)」とは、市民が主体となり保健医療専門職とパートナーを組み、個人や地域社会における健康課題の改善に取り組むことです。本連載では聖路加国際大学のPCC 事業の中で経験した「個人や地域社会における健康課題の改善」を紹介します。
田中 加苗 ● たなか かなえ
聖路加国際大学大学院看護学研究科 助教
小野 若菜子 ● おの わかなこ
東京都立大学健康福祉学部看護学科 教授
中村 めぐみ ● なかむら めぐみ
聖路加国際大学PCC開発・地域連携室 マネジャー
まちのグリーフカフェ「しん・呼吸」
市民活動団体や市民サポーターとの協働
まちのグリーフカフェをつくる
グリーフとは、「喪失によって生じる深い悲しみや苦悩」であり、悲嘆とも言います。そして、グリーフとして現れるさまざまな感情や行動を正常なものとして受け止め、その気持ちを察し、寄り添う姿勢に基づいた支援がグリーフケアです。筆者らは、喪失の中でも死別に着目し、“大切な人を亡くされた経験を語りあう会:まちのグリーフカフェ「しん・呼吸」”(以下:「しん・呼吸」)を市民活動団体や市民サポーターと協力して開催しています。
最初に、「しん・呼吸」の始まり、協働のプロセスをご説明します。