日本の医療の諸問題について論じた2016年3月発行の前作『少子超高齢社会の「幸福」と「正義」』に引き続き、国内外の20の問題を倫理的に独自の観点から思索しました。
看護プロセスや実践知が明示・共有されづらいとされる訪問看護。その業務を“見える化”し、よりよいケアの提供や、管理者・スタッフの仕事の楽しさ向上につなげる方法を、谷口由紀子さんと、山本則子さんを中心とするグループが解説します。
事例研究:学会発表をしよう!
野口 麻衣子 ◆山本 則子
「学会」と聞くだけで、「難しい、自分には関係ない」と思っていませんか? でも、そんなことはありません。学会は学問領域の発展などを目的として運営される団体で、通常、研究成果の発表や会員同士の交流を目的とした学術集会を年に1回開催します。学会発表とは、この集会で発表することです。エビデンスレベルが高いとされるランダム化比較試験やそのメタ分析についての研究だけでなく、事例研究や事例報告も数多く発表されています。看護は実践科学です。実践の場での問題を取り扱い、実践の場で使える研究こそが、“生きた研究”と言えます。そのため、事例研究を含む、実践現場からの研究は大変重要視され、歓迎されます。
看護プロセスや実践知が明示・共有されづらいとされる訪問看護。その業務を“見える化”し、よりよいケアの提供や、管理者・スタッフの仕事の楽しさ向上につなげる方法を、谷口由紀子さんと、山本則子さんを中心とするグループが解説します。
事例研究:ワークシートを用いた看護実践の言語化・概念化
山花 令子 ◆村山 陵子 ◆山本 則子
エキスパートの看護職ほど、自分の実践を“当たり前のこと”“普通のことしかしていない” と感じることが少なくないようです。しかし、実際には専門的な知識・技術・経験を背景にした優れた実践を意識せずに行っていることも多いでしょう。私たちの研究グループ(日本学術振興会科学研究費助成事業、代表:山本則子)は、そのような優れた実践を意識化し、他者と共有したり蓄積したりできる事例研究の方法論の開発に取り組んでいます。優れた実践の可視化は、実践者が自信を持つこと、他者の実践を学び成長すること、自身の経験のない事例に関する示唆を得ることなどに役立つと考えられます。
前号では、看護実践の意識化・言語化(図1)のための対話や問いかけなどを紹介しました。今回は、ワークシートを使った振り返りと、実践内容の概念化(カテゴリー化)の方法を紹介します。
早いもので今年も残すところあとわずかです。
いつもは忙しくて、本を読む時間も気力もない……という方でも、年末年始は比較的ゆっくり過ごせる、ということもあるかもしれません。
年の初めに、新たな気持ちで「看護の原点」について振り返ってみてはいかがでしょうか。
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他の医療職と看護職が大きく異なるのは、看護職は24時間患者さんの傍らにいる専門職だということです。常に患者さんに寄り添っているからこそ見えてくることがあるはずです。
忙しそうな医療者に遠慮して、痛くてもがまんしている患者さん、悩みを抱えているのだけれども誰にも話せず一人で抱え込んでいる患者さん……
そんな様子がうかがえたら、そっと患者さんに触れたり、ただ黙って側にいてみるだけで、もしかするとその人は少し安心するかもしれません。
今回のオススメ書籍は、看護職ならではの安楽をもたらすワザを紹介した本を集めました。