地域ケアの今(40)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

施設に入所している

高齢者から見える景色

文:上野まり

 

先日、80代後半の女性Aさんの手紙を目にしました。彼女が学生時代の同級生Bさんに宛てて書いたものです。Aさんは今、有料老人ホームに入所しているようです。

 

「Bちゃんへ 秋の訪れも本格的になり、夏の暑さを忘れて涼しい、ちょっと冷たい風さえ感じますこのごろ、お元気ですか。

私はすっかり老いたバアさん扱いを受けまして、86歳元気印のバアさんもすっかりしょげています。自分では脚も大丈夫、歩けますと言っていますが、娘たちはダメばあさんと思い込んで、私が家へ帰ると申しましても反対。何もできない状態にされています。火を扱うのはダメ、ガスも使えない人間扱いで、もう自立できない人間にされています。こんな扱いを受けていますか貴女は?

 

 

 

ホームに入りまして、胃腸が悪くなり治療していましたが、一応、治療もできましたので、自分では大丈夫と思っていますが、食べ方によっては戻すことがありますので、子どもたちはまだまだ胃腸が悪いと思えるようで、普通の食生活では無理と思い込んでいるようです。普通の体ではないことは確かですが、胃腸の悪い人はたくさんおられると思いますので、異常なことではないのかもと、勝手に私は思い込んでいます。自分流の食べ方で少量ずつ食べています。ちょっと量がオーバーすると受け入れないので、吐いてしまいます。簡単に吐いてしまうので、このごろは外で食べることは考えてしまいます。

 

老いて癌も患い、胃腸の手術もしていますので、そろそろ人生も終わりかと思ったりもしています。夫のところに早く逝きたいと思いますが、思うようにいきません。だいぶ弱ってきていますので、これからが正念場かもしれません。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2019年1月号)