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「足の脈管を理解する」
脈管という言葉はあまり聞きなれない方もいるかもしれません。脈管とは、動脈、静脈、リンパ管の総称です。脈管は、足の外見だけでは判断できない部分もありますが、逆に、知ることで一歩進んだ理解につながることもたくさんあります。今回は、そうした内容をお伝えいたします。
脈管とは
脈管は、その字の通り管状になっていて、中を血液やリンパ液が流れ、それが全身に張り巡らされています。そのため、脈管疾患が起こると、ごく一部の局所が損傷されるだけでなく、広範囲もしくは全身性の疾患、または生命維持に直結する疾患と関連性が高くなります。つまり、中を流れている血液やリンパ液が、脈管そのものの病変により流れが滞ることで、その部分のみならず、その中枢側や末端側の細胞レベルにまで影響が出てしまうのです。
足の動脈
動脈は、一般的に図1のような構造をしています。人工透析を受けていると、動脈の中膜が石灰化しやすく、血管の柔軟性が失われますが、それが足への血流障害に結びついています。また、末梢動脈という視点から鑑みると、冠動脈や脳血管にも同様に影響を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を合併することも少なくありません。
足の切断に結びつく疾患と言えば糖尿病があります。日本で人工透析を受けている患者のうち、過半数は糖尿病腎症によるものです。毛細血管には中膜がほとんど存在しないため、石灰化が起こりにくいのですが、透析を導入するきっかけが糖尿病であったりすると、毛細血管の基底膜が肥厚する微小血管障害が起こり、高中性脂肪血症や血小板の粘度亢進などもあいまって、末梢の血流が悪くなり、ますます壊疽に陥りやすい状態になります。