地域ケアの今(53)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

前例にとらわれずに知恵を絞るべき時代

 

文:鳥海房枝

 

書類作成に忙殺される職員

 

先日、なにげなく見ていたテレビ番組で子どものいじめ問題が取り上げられ、識者や文化人(?)がさまざまなコメントを出し合う場面がありました。そこで、教師経験のある教育評論家が「教師が子どもと直接接する時間が大幅に減っている」と言い、その理由として、今の教師は必要書類の作成に時間が割かれ、大変忙しくなっているとのことでした。どこかで聞いた話に似ていると思いながら、第三者評価で訪れた保育所での保育士の姿や、高齢者ケア施設で働く介護職の置かれている状況に結びつけて考えてみました。

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訪問看護ステーションの経営戦略(24)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

役員報酬について考えよう

渡邉 尚之

 

管理者が本当に行うべき業務は何か

 

訪問看護ステーションの経営者や管理者は多忙です。中には明らかに業務過多となっている人もいます。特に経営者が管理者を兼任している場合は、資金繰りなどの財務管理や法人の事業計画を策定するといった経営管理、訪問看護ステーションの経営全般のマネジメントに加え、管理者としての運営管理を行う必要があり、多忙を極めます。

 

このようなケースにおいて、経営者や管理者が、本来、担うべきとはいえない業務まで担当していることが多々あります。明らかに業務過多であるにもかかわらず、自分の時間を削って多くの仕事を抱え込み、満身創痍でそれらをこなすという働き方は、若さや情熱があれば多少は可能かもしれません。しかし、持続可能性や経営の安定性という観点からは好ましくないといえるでしょう。

 

 

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SPECIAL INTERVIEW 『病院と地域を“看護”がつなぐ』 「地域」を知りたい看護管理者の皆さんへ

病院・訪問看護ステーション・教育機関など多彩な経験を経て、今、公立病院の看護局長として活躍する角田直枝さん。離職率4%を誇る茨城県立中央病院での看護の1シーンが、軽快な語り口のエッセーと、ププッと笑えるユニークな4コマまんがで展開されます。「特に病院の看護師さんに読んでほしい」と語る角田さんに、本書のおすすめポイントをうかがいました。

 

 

角田 直枝さん
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター看護局長
がん看護専門看護師

 

1987年筑波大学医療技術短期大学部看護学科卒業後、筑波メディカルセンター病院に入職し、病棟勤務。その後、筑波メディカルセンター訪問看護ステーションいしげ管理者を務め、2002年筑波メディカルセンター病院副看護部長に就任。2005年より日本訪問看護振興財団にて認定看護師教育課程訪問看護学科主任教員、2007年には同財団事業部長を務め、2010年より現職。『イラストでわかる 元気になる看護管理』(中央法規出版)など著書多数。

 

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訪問看護ステーションの経営戦略(23)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

役員報酬について考えよう

渡邉 尚之

 

 

訪問看護ステーションの経営者(法人代表者)を含め、多くの経営者が悩むことの1つに役員報酬があります。役員報酬は法人経営における最終損益を大きく左右する非常に重要な項目です。この金額は法人と経営者の税金等の支払いにも影響するため、法人全体の資金繰りの観点からも熟考が必要です。

 

そこで今回は、役員報酬の基本的なルールと適正な金額の考え方について説明します。なお、本稿では論点をシンプルにするため、訪問看護ステーション経営者=法人代表者(1人)=株主(1人)とします。また、中小法人と仮定し、役員報酬は定期同額給与のみとします。

 

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アンガーマネジメント(10)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

 

相手に伝わりやすい上手な怒り方②

光前 麻由美

 

 

前回(2019年12月号)は、怒るときのNGワードについて解説しました。今回はその続きとして、怒る(叱る)ときに避けたいNGな態度を紹介します。

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