特別寄稿

特養あずみの里裁判では、利用者の飲食中の急変(その後死亡)に対し、食事介助に当たっていた准看護師が業務上過失致死に問われました。本誌ではこれまで、その事件の詳細や裁判の経過、全国からの支援などについて複数号で報告してきました(2018年11月号、2019年1月号、2019年6月号)。今回、控訴審での逆転無罪判決が確定したため、弁護士の木嶋日出夫さんから最終の報告をいただきます。

 

 

特養あずみの里裁判④

画期的な無罪判決

文:木嶋 日出夫

 

 

 

逆転無罪判決、確定

 

2020年7月28日、東京高裁第6刑事部(大熊一之裁判長)は、特養あずみの里業務上過失致死被告事件の控訴審判決で、第1審・長野地裁松本支部の有罪判決(罰金20万円)を破棄し、無罪判決を言い渡しました。検察は上告せず、無罪判決が確定しました。

 

2014年12月26日に不当な起訴を受けて以来、今日まで5年半を超える長きにわたり、「被告人」として苦汁をなめさせられてきた准看護師の山口けさえさんは、無罪判決確定後の記者会見で「お亡くなりになった方のご冥福を祈ります。無罪の判決が確定して本当によかったです。ほっとした気持ちです」と、その心境を率直に語りました。

 

事件の発端は、2013年12月12日のおやつ時にドーナツを食べた85歳の利用者の女性(Kさん)が、突然意識を喪失して心肺停止状態となり、救急搬送された病院で翌2014年1月16日に死亡したことでした。

 

2019年3月25日の第1審判決(以下:原判決)は、ドーナツをのどに詰まらせて窒息したことを認定した上で、Kさんに対する「注視義務違反」は否定しましたが、「おやつ形態確認義務違反」を認めて、有罪判決としたものです。

 

控訴審では、急変は本当に「窒息」だったのか否か、准看護師の山口さんにおやつ形態確認義務があるのか否かが2大争点でした。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年10月号)