訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全
な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会
計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。
渡邉 尚之
新型コロナウイルス感染症の被害は世界規模に及び、私たちの生活を一変させました。本稿が掲載される6月には少しでも状況が改善していることを祈るばかりです。
新型コロナウイルス感染症の被害は、人のみならず経営にも大きな打撃を与えています。影響が特に甚大とされる宿泊・観光・飲食業をはじめ、経営の厳しくなる業種は多いでしょう。今後、世界の多くの国が不況に陥る可能性は極めて高いと考えられ、日本も同様です。
訪問看護ステーションにおいても、すでに新規利用の案件が減少したり、既存利用者から予定していた訪問をキャンセルしたいという申し出を受けたりした所が増えています。自粛要請が長引けば、売上は下がっていくでしょう。また、スタッフや利用者に感染者が出れば、訪問業務に著しい支障を来し、最悪の場合は事業所を休止しなければならなくなる可能性があります。そうなると、収入は途絶え、事務所家賃やスタッフへの給与の支払いに困難が生じることも起こり得ます。
新型コロナウイルス感染症による経営危機は、訪問看護ステーションにとっても決して他人事ではありません。そこで今回は、新型コロナウイルス感染症による経営危機への対応について解説します。
資金ショートによる倒産を回避する
訪問看護事業に限らず、経営においてもっとも重要なのは倒産しないことです。では、倒産はどのような場合に起こるのでしょうか。倒産は、赤字になったときではなく、資金が足りなくなった(資金ショート)ときに起きます。簡単に言えば、法人の現預金がゼロとなり支払い不能となれば倒産です。
→続きは本誌で(コミュニティケア2020年6月号)