SPECIAL BOOK GUIDE 無痛分娩と日本人── Painless Childbirth Nursing Todayブックレット02刊行!

■無痛分娩の現場から見えてくるもの

看護やケアをめぐるさまざまな課題を取り上げ、読者の皆様とともに考える新シリーズ〈Nursing Todayブックレット〉。本書はその第2弾です。
日本でも確実に増えつつある無痛分娩。一方で、「出産に伴う痛み」を回避することへの忌避感や、いわゆる「自然な出産」をよしとする価値観も、根強く存在するようです。この無痛分娩という医療行為に向けられるまなざしは、出産や女性、女性の身体に対する日本人の考え方や文化を映し出しているといってもよいかもしれません。
本書では、臨床助産師を経て、無痛分娩の研究に取り組む著者・田辺けい子氏(神奈川県立保健福祉大学准教授)が、その実践および研究の成果をもとに、無痛分娩の現場を描き出すことで、そうした考え方や文化を読み解き、これからの医療やケア、さらには、家族のあり方などを考察します。

 

■言説の背景を読み解く

本書は、3つの章から構成されています。
「日本における無痛分娩の歴史と現状」では、医療事情のみならず、社会運動や文学といった側面からも、明治期以降の各種資料を基に探ります。
続く「さまざまな立場にある当事者の言説」では、著者が医療人類学の手法により約20年にわたって継続している調査で得られた「生の声」を紹介し、それら言説の背景を読み解きます。無痛分娩、いわゆる自然出産、さらには自宅出産といった、さまざまな方法を選んだ女性たち。そして、産科医、麻酔科医、助産師といった、それにかかわる医療職。それぞれの抱く思い、主張、信念、事情とは? 数々の語りを通して、たとえば、医療職同士であっても、捉え方に違いがあることが垣間見えます。
そして最終章「無痛分娩―助産師はいかにかかわるべきか」では、自身も助産師である著者が、無痛分娩における「助産」のあり方―その専門性は発揮されているのか/しうるのか―を考察し、6つのロジックを提案します。
本文の合間には、4つのコラムも収載。コンパクトサイズながら、多くの要素が凝縮されています。医療がご専門でない方にもおすすめしたい1冊です。

 

社会・集団における疾病観念や治療行為を分析・考察する学問分野。

 

★ご購入はこちらから

 

Nursing Todayブックレット・02
無痛分娩と日本人
Painless Childbirth  

 

 

 

 

田辺けい子 執筆
●A5判 64ページ
●定価(本体750円+税)
ISBN 978-4-8180-2212-6

 

内容

●日本における無痛分娩の歴史と現状
●さまざまな立場にある当事者の言説
●無痛分娩――助産師はいかにかかわるべきか
○コラム(医学と宗教の抵抗/無痛分娩における産婦の新たな主体性の立ち上がり/無痛分娩看護マニュアル/パルトグラムの活用)
※2019年10月26日付け「読売新聞」夕刊「医療と健康のページ」で紹介されました。


【Book Selection】新年を機に初心にかえる!

当社書籍の中から、新刊・既刊・古典にかかわらず、テーマにあったものをご紹介。

 

 

看護師になった時の気持ちを思いだしてみませんか。
先達が歩んできた道。看護師をめざす人へのメッセージ。
ぜひ読んでみてください。
新たな気持ちで仕事に取り組めることでしょう。

 

 

続きを読む…


地域ケアの今(51)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

自らの“老い”と折り合いをつける

文:鳥海房枝

 

第三者評価の利用者調査で高齢者ケア施設などを訪れた際には、事故・ヒヤリハット報告書の現物を見せてもらっています。介護保険サービスを提供する現場で事故が発生した場合は、保険者である市区町村に届け出ることが義務づけられています。ただし、報告する事故の範囲(内容)は保険者が定めており、保険者によって異っているのが実情です。中でも際立っている違いは、骨折をはじめとする外傷等(窒息等による死亡事故を含む)で入院や継続的な通院治療を要するなど、利用者の身体に影響があった場合に限定しているところや、無断外出・異食・誤薬等にまで報告を求める保険者まであることです。

続きを読む…


訪問看護ステーションの経営戦略(22)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

経営者ではない管理者が身につけるべき経営視点

渡邉 尚之

 

 

「経営者ではない管理者」という立場

 

訪問看護ステーションの管理者には経営的視点から大きく2つのタイプがあります。それは経営者と管理者が同一人物である場合と経営者と管理者が別人物である場合です。

 

看護師が株式会社などを設立して訪問看護ステーション事業を始めたケースでは、経営者(代表取締役)=管理者となることが一般的です。

続きを読む…


SPECIAL BOOK GUIDE 病院・高齢者施設で活用できる『認知症plus回想法』刊行

介護予防のための取り組みとしてグループで行う「回想法」では、高齢者が懐かしい写真や物を見ながら昔の思い出を語り合います。心が癒やされて情緒が安定したり、脳の活性化につながったりすることから、施設や地域のサロン活動などで広く実践されています。最近「院内デイケア」のプログラムとして取り入れる病院も増えています。好評書籍『認知症予防のための回想法』に加筆修正を行い、新たな写真も加えて内容のさらなる充実を図った本書の特色についてご紹介します。