災害に強いステーションづくり❹

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

BCPの策定手順①
STEP1 策定体制の構築

 

寺田 英子

てらだ ひでこ

災害看護専門看護師/認定看護管理者

 

 

医療・福祉施設の災害への備え

 

今の日本は、地震や水害、新興感染症などの多様な災害リスクと隣り合わせです。ひとたび災害が起こると医療・福祉のニーズは高まり、それと同時にスタッフや施設、ライフラインは大きな被害を受けてサービス提供機能は大幅に低下します。そうした中でも医療・福祉施設には、限られた資源を最大限に活用して救護活動とサービス提供を行うことが求められています。

 

 

事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)は、重要な業務が災害や事故などの理由を問わず中断しない、あるいは中断しても、可能な限り短い期間で復旧させるための方針・体制・手順などを示したものです1)。より詳しく言うと、BCPは危機的事態によるインフラ停止や交通機関の麻痺に備えて、初動対応や事業の早期復旧・継続のために「どの業務を」「いつまでに」再開するのか整理し、医療・福祉施設として業務を止めないための対策を考えることです。従来の防災計画は「初期消火」「避難」といった初動中心の対応策であることに対して、BCPは「事業の継続」が目的です。そのため、「災害発生時の影響を最小限にする」と「自施設の機能を自己完結的に維持する」ための準備をしておくことが重要です。

 

なお、令和3年度介護報酬改定では、感染症や自然災害への脅威が増していることを受けて、BCPの策定をすべての介護施設・事業所に義務づけています(完全義務化は2024年度から)。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2021年6月号)