訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の
策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、
実際の事例などをとおして災害時の
対応・危機管理のあり方を示します。
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尾崎 里奈
おざき りな
防災気象PRO株式会社(TeamSABOTEN)
気象防災アドバイザー・気象予報士
近年の自然災害と未来の懸念
「こんな大雨は経験がない」「まさか川があふれるなんて」—気象災害報道でよく耳にする被災者の声です。気象予測の現場でも「本当にこんなに降るのか?」とコンピューターの数値予報に一瞬疑念を持ったことがあります。山地が多く河川が急峻な日本はもともと自然災害が発生しやすいため、著しい大雨災害は大昔から起きていたかもしれません。では、私たちが感じる「最近の大雨はひどい」という感覚は間違っているのでしょうか。
気象庁の統計によると、1時間雨量50mm以上の年間発生回数は増加傾向であることがわかっています。約40年前の約1.4倍に増えています1)。1時間50mmの雨というのは、滝のように降り、車の運転が危険なレベルです。このほか日降水量200mm以上および400mm以上の大雨の年間日数も増えていることがわかっており2)「最近の大雨はひどい」という私たちの感覚はあながち間違いではないようです。