基礎から学ぶ! 事例でわかる! 訪問看護ステーションの事業承継

経営者の高齢化等により注目されている事業承継。成功させるにはいくつかのポイントがあります。本連載では、事業承継とは何か、事業承継の流れ・留意点などの基礎知識を解説し、実際の支援事例を紹介します。

 

 

 

マクロ視点から見る訪問看護の事業承継2

 

坪田 康佑

つぼた こうすけ

一般社団法人訪問看護支援協会

 

 

前回は、訪問看護ステーションの開設主体(法人)で最も多い営利法人について、経済産業省中小企業庁のデータなどを用いながら事業承継の課題、さらに訪問看護ステーションの大規模化の流れを紹介しました。

 

厚生労働省の「令和3年介護サービス施設・事業所調査結果の概要」によると、訪問看護ステーションの開設主体は、営利法人(会社)が59.2%、医療法人21.9%、社団・財団法人6.7%、社会福祉法人(社会福祉協議会を含む)5.7%となっています(図表)1)。今回は、営利法人を除いた上位にある医療法人と社会福祉法人*1事業承継、また、廃止・休止の実態とその影響について解説します。

 

 

医療法人の事業承継:経営者の高齢化と高い後継者不在率

 

医療法人の代表理事は医師しかなれないと思っている人は少なくないでしょう。しかし、医師以外の人もなることができます。実際、筆者の知人も医師免許を持たずに医療法人の代表理事になっています。

 

医療法第46条の3第1項では「医療法人の理事長は原則、医師又は歯科医師」となっており、「原則」とあるように「理事長特例」と呼ばれるものがあります。これは「都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる」*2というものです。

 

*1 社団・財団法人は医療法人の類型であることから割愛
*2 医療法第46条の6第1項

 

 

続きは本誌で(コミュニティケア2023年7月号)