地域ケア・在宅ケアの話題は本誌でも折々に取り上げていますが、姉妹誌「コミュニティケア」(以下:CC)では、毎月、より詳しくお伝えしています。地域包括ケアの時代、本誌の主な読者である病院看護職の皆さまにもぜひ併せてお読みいただきたい雑誌です。今回は4月号の内容を一部ご紹介します。
【今月のオススメ書籍】 熊本地震から1年―大災害の教訓を今後の備えに生かす
2016年4月14日、熊本・大分両県で最大震度7の地震が発生しました。その後も昨年11月30日までに4,000回以上の地震があり、犠牲者は200名を超え、現在も仮設住宅で生活されている方は1万人以上いるとのことです。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と大規模地震が続き、今後いつ、どこで、再び大地震が起こるかわかりません。
私たちはこれらの災害経験の教訓を生かし、今後に備えていかなければならないでしょう。
そこで今月は、災害看護関連の書籍・雑誌をご紹介いたします。
地域ケアの今⑱
福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。
マスクの季節に思うこと
文:上野まり
今年の冬は、インフルエンザとノロウイルスの流行が当たり年だったようです。大学では、学生・教員・職員が皆マスクを着用しています。街中でもおしゃれな身なりをしつつマスクをつけ闊歩している人に多く出会います。感染症の季節を感じさせる1つの風景なのかもしれません。PM2.5 なる汚染物質による健康被害から身を守るために、誰もが日常的にマスクをしている地域もあるようです。
どのような理由にしても、正直なところ、中高年である私はこの風景にやや違和感を覚えます。職業柄、白衣にマスクをした姿にはまったく違和感がないのですが、最近若いころには感じなかったマスク装着による不都合が気になるのです。
マスクがもたらす不都合
先日、学生の実習指導で病院に2週間行き、白衣にマスクという姿の学生たちと毎日一緒にいました。困ったのは、「誰だかわからない」「声がよく聞きとれない」「マスクを外してと言いにくい」ことです。近視と老眼のためか、普段から人の顔の特徴がつかみにくくさらに記憶力も鈍ってきているので、昔に比べ名前と顔が覚えづらくなりました。髪型や化粧、服装が変わったりすると、何度会っても学生の名前と顔がなかなか記憶できません。そんな状況にもかかわらず、実習では数人の女子学生が同じユニフォームを着てマスクをつけ、実習にふさわしい同じ髪型だったのです。2つの目を見つめて、懸命に誰かを判断するしかありませんでした。
トシコとヒロミの往復書簡 第18回
本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。
川越博美さんから井部俊子さんへの手紙
「賢い消費者」を育てるPR
文:川越博美
2017年もあっと言う間に3月。年を重ねると時が過ぎるのが早いことを実感しています。前号では、それについてピエール・ジャネの説を紹介して説明してくださいました。なるほどと納得しながらも、井部さんや私は、その説による「機械的な日課に転換され」「空っぽになって崩れていく」には当てはまらないと思います。なぜなら私は、刺激的で変化に富んだ今を「どうしてこんなに忙しく仕事をしているのか」と思いながらも楽しんでいますから。時には悠々とした定年退職後の生活をうらやましく感じることもありますが、それでもまだ働くことが許されていることを“看護師”という職業のおかげだと感謝しています。高齢者は75歳からと定義される時代。後輩たちに訪問看護の歴史を語りながら、今という時代に通じる看護師でありたいと、骨粗しょう症の薬を飲みながら日々奮闘している私です。
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月刊誌「コミュニティケア」の好評連載が書籍化! 『訪問看護師ががんになって知った 「生」と「死」のゆらぎ』
訪問看護パリアン看護部長・川越博美氏のエッセイ「訪問看護師ががん患者になって考えた 死にゆく人に寄り添い支えること」が大幅加筆の上、本になりました。闘病、介護・看取り、まちづくり……当事者として向き合ってきた著者ならではの、真摯な言葉に溢れた1冊です。