NT2014年10月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

 

NT1410表紙NT2014年10月号の

【アセスメント力を高める

フットケア】は、

 

「足の神経を理解する」

 

当然のことながら、人間の体はすべてがつながっています。例えば、膝の痛みがあるときに、インソールに手を加えて足底からアライメントを変えると、その痛みが引いてしまうということがあります。アライメントとは、配列とか並びを意味します。もう少しわかりやすく「骨(または骨格)アライメント」と表記されることもあります。

 

立位で人体を真横から見たときの正しいアライメントは、[耳〜肩峰〜大転子〜膝蓋骨後面〜外果]を結んだラインが一直線である状態です。自分では自然に立位を取っていると思っていても、その位置がずれているとき、「アライメントが崩れている」と言います。こうした体のつながりを理解すると、足へのアプローチがいかに有効かということがわかってきます。

 

全身がつながっていることをさらに実感できるのは、「神経」ではないでしょうか。少し強引な流れではありますが、今回は神経についてひもといてみましょう。

 

神経の働きと役割

 

神経は、中枢神経と末梢神経に分けられることはすでにご存じだと思います。その中で足にかかわる神経は末梢神経です。これを機能的に分類すると、体性神経と自律神経に分けられます(図1)。

 

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体性神経には、感覚神経(知覚神経とも言います)と運動神経があります。

 

感覚神経は、例えば皮膚になにか触れたときに、その部分から中心の神経に向かって信号が送られていくため、求心性神経と言われます。感覚神経には、皮膚を介して感じる触覚、痛覚、温度覚といった表在感覚と、筋腱、関節、骨膜といった皮膚より下部にある組織で感知する圧覚、振動覚、位置覚、運動覚といった深部感覚があります。そして、内臓で感じる内臓感覚に至るまでの感覚を司る神経です。

 

逆に運動神経は、その部分を動かすために、中心となる神経から動かしたい末梢側の部分に向かって信号が送られるため、遠心系神経と言われています。筋肉には、自分で意識して動かすことができる随意筋である骨格筋と、自動的に調整をして動かす不随意筋の心筋、平滑筋があります。このうち骨格筋をコントロールするのは運動神経ですが、不随意筋は自律神経の働きによるものです。

 

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。学生さんに講義をするときには、交感神経は戦闘モード、副交感神経はリラックスモードと話しています。体の内部をこうしたモードに従って自動調整してくれる大切な神経です。

 

復習も兼ねてざっと神経のことを書きましたが、その中でそれぞれの神経が障害されると足にどんな影響を及ぼすのかを見てみましょう。

(この続きは本誌で)

 

[著者]西田 壽代

(足のナースクリニック代表/一般社団法人日本トータルフットマネジメント協会会長)

 

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ナーシング・トゥデイ8月号特集 誌上コンサルテーションシリーズ⑨ 疾患別「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア 

1408hyoshiOL8月号の特集テーマは

「疾患別「つらくない」「痛くない」

褥瘡ケア」です。

 

2013年8月号の特集では“「つらくない」「痛くない」褥瘡ケア”をテーマとして、これまであまり意識されてこなかった「疼痛緩和に配慮した褥瘡ケア」の基本を取り上げました。本特集では、がん、脳卒中など患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた「つらさ」と「痛み」に配慮した褥瘡ケアを考えます。また、後半では困難事例を取り上げ、コンサルテーションを行います。

 

監修:祖父江正代

(JA愛知厚生連江南厚生病院/がん看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

患者が抱える「つらさ」「痛み」のアセスメントの視点

祖父江正代

 

患者の背景にある疾患の特徴を踏まえた

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケアの実践

 

がん患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

祖父江正代

 

脳卒中患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

小林陽子(東京都健康長寿医療センター/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

心不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

志村知子(日本医科大学付属病院/急性・重症患者看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性腎不全患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

丹波光子(杏林大学医学部付属病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

脊髄損傷患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

木下幸子(金沢医科大学看護学部講師/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

慢性関節リウマチ患者が抱える

「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア

近藤貴代(JA愛知厚生連知多厚生病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)

 

認知症患者が抱える「つらさ」「痛み」に配慮した褥瘡ケア
小林陽子

 

 

困難事例の誌上コンサルテーション

 

1 身体の痛みの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

祖父江正代

 

2 息苦しさによるつらさの緩和と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース

志村知子

 

3 循環動態の安定のための安静と褥瘡ケアとの間で

ジレンマを感じるケース
志村知子

 

4 離床・自立と褥瘡ケアとの間でジレンマを感じるケース
木下幸子

 

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NT2014年8月号連載【チームづくりのお悩み相談】紹介

1408hyoshiOLNT2014年8月号の

【チームづくりのお悩み相談】のお悩みは、

 

「チーム内で毎回のように新人からの

〝臨機応変な報告がない〟という
不満があがっています」

 

おそらく「臨機応変な報告」は「できる」の認識には微妙な相違があると思います。また、報告は仕事の力量が上がるスピードと比例するように経験を通して徐々に上達します。最も重要なことは報告・連絡・相談のスキルの育つプロセスについてチーム内の認識を一致させることではないでしょうか。

 

報告・連絡・相談のスキルは経験を通して学びとる

 

新人からよく「どんな小さなことでも報告をするようにと言われたので報告をすると『そんなどうでもいいことを多忙な今、報告しなくてもいい』と叱られた。そこで、忙しそうなので報告を控えていたら『報告をしない』と叱られ、頭がゴチャゴチャになりました」という悩みをよく聞きます。

 

一方で新人の時を振り返り、「私のプリセプターはどのような報告も受け止めてくださいました。ただ、私の報告を受ける様子があまり真剣ではない、受けた後の先輩が特別その情報を気に留めていないことから『今の報告はあまり重要ではなかったのかも』と気づくことがありました」と少しずつ報告をするスキルを身につけた様子を伝えてくれる先輩もいました。教えることは一時ですが、経験から本人が学びとるには数年かかります。

 

報告のラダーで成長段階を共有する

 

表1は、筆者が独自に作成して使用している報告・連絡・相談スキルのラダーです。

 

私たちは「相手にリクエストされた通りに報告する」から「仕事の状態を見て必要な情報を報告する」になり「チーム全体のことを思って自発的に報告をする」ことができることを一人前に育つと考えます。さらに上級者は「チームの人間関係までも考えて報告のタイミング、ルートや方法まで検討する」、熟達者は「世の中やチームの変化を察し、直感でチームや上司に必要な報告をしている」と言えるでしょう。まずはこの報告・連絡・相談のスキルの成長段階をチーム全体で共有することが必要です。(続く)

 

[著者]永井 則子(有限会社ビジネスブレーン代表取締役)

 

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NT2014年8月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

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【アセスメント力を高める

フットケア】は、

 

「足の脈管を理解する」

 

脈管という言葉はあまり聞きなれない方もいるかもしれません。脈管とは、動脈、静脈、リンパ管の総称です。脈管は、足の外見だけでは判断できない部分もありますが、逆に、知ることで一歩進んだ理解につながることもたくさんあります。今回は、そうした内容をお伝えいたします。

 

脈管とは

 

脈管は、その字の通り管状になっていて、中を血液やリンパ液が流れ、それが全身に張り巡らされています。そのため、脈管疾患が起こると、ごく一部の局所が損傷されるだけでなく、広範囲もしくは全身性の疾患、または生命維持に直結する疾患と関連性が高くなります。つまり、中を流れている血液やリンパ液が、脈管そのものの病変により流れが滞ることで、その部分のみならず、その中枢側や末端側の細胞レベルにまで影響が出てしまうのです。

 

足の動脈

 

動脈は、一般的に図1のような構造をしています。人工透析を受けていると、動脈の中膜が石灰化しやすく、血管の柔軟性が失われますが、それが足への血流障害に結びついています。また、末梢動脈という視点から鑑みると、冠動脈や脳血管にも同様に影響を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を合併することも少なくありません。

 

足の切断に結びつく疾患と言えば糖尿病があります。日本で人工透析を受けている患者のうち、過半数は糖尿病腎症によるものです。毛細血管には中膜がほとんど存在しないため、石灰化が起こりにくいのですが、透析を導入するきっかけが糖尿病であったりすると、毛細血管の基底膜が肥厚する微小血管障害が起こり、高中性脂肪血症や血小板の粘度亢進などもあいまって、末梢の血流が悪くなり、ますます壊疽に陥りやすい状態になります。

 

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「自身の潜在力」と「看護の質」を高める “自利利他”のスピリチュアルケアとは!?

大下 大圓4C

大下 大圓さん (おおした・だいえん)
飛騨千光寺住職、臨床宗教師、日本スピリチュアルケア学会 指導スピリチュアルケア師、高野山傳燈大阿闍梨
1954年岐阜県高山市に生まれる。12歳で出家。高野山で仏教、密教を修業したのちに、スリランカで初期仏教と瞑想を修業。「ビハーラ飛騨」「地球人ネットワーク飛騨」を主宰し、ベッドサイドの傾聴活動や、「飛騨にホスピスをつくる会」会長としての緩和ケア・在宅ホスピス運動等を実践。千光寺「自由なこころの道場」では、心の相談やカウンセリング、瞑想療法を主体とする研修会を行い、全国の看護協会などで講演やワークショップを展開している

 

 

実践的スピリチュアルケア

 これまで限定的に行われてきた感のあるスピリチュアルケアを“ケアリングの応用”と位置づけ、「看護ケアとの関連」「日本人の死生観」「仏教の世界観」など、多方面から考察したのが本書『実践的スピリチュアルケア』です

 日本スピリチュアルケアワーカー協会副会長であり、臨床での実践経験も豊富な大下大圓さんにお話をうかがいました。 続きを読む…