【SPECIAL BOOK GUIDE】看護実践につなげる 15分からのミニ勉強会

 


小集団だからこそできる「等身大の学び」を!


 

何のための研修なのか?

 

院内研修のための資料作りや事後のレポート提出、外部研修受講後の伝達講習など、がんばってはみたものの、息切れしてしまったことはないですか?

 

本書でご紹介する「ミニ勉強会」とは、大掛かりな準備はなし、15分から始められて、身近なテーマで、看護師たちが自分の言葉で語り、回数を重ねることで学びを定着させようというもの。

 

著者自身が、試行錯誤を繰り返しながら仲間と見つけた、学びのあり方の1つです。皆さんへの最大のメッセージは、「とにかく一歩、踏み出してみよう!」ということ。特に中小規模病院や訪問看護ステーション、高齢者施設などでは、「研修はこうであらねば」という縛りから自由になって、小集団ならではの「等身大の学び」が可能となります。

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N.Focus ディーセント・ワークとジョブ・クラフティング 小さな工夫で生き生きと働ける職場へ




ディーセント・ワークとジョブ・クラフティング

小さな工夫で生き生きと働ける職場へ

 


山住 康恵●やまずみ やすえ

共立女子大学看護学部 准教授

 

[略歴]1994年より福岡県内の総合病院で勤務、2009年福岡県立大学看護学部助手、2012年同学部助教、2013年防衛医科大学校医学教育部看護学科講師、2016年共立女子大学看護学部専任講師を経て、2019年より現職。専門は看護管理、看護教育。

 


 

日々の業務に追われて見失った仕事のやりがいを、どう取り戻せばよいのか。働きがいを持って働くための視点として、「ディーセント・ワーク」と「ジョブ・クラフティング」の考え方を、実践例とともに紹介します。

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【Book Selection】新刊書籍のご紹介


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〈新連載〉わたしの推し本(1)


第 1 回『新装版 嘘の効用』

 

著者:末弘 嚴太郎 価格:2,640円(税込み) 発行:日本評論社

 


今月の推し人

 

任 和子

京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻 先端中核看護学講座生活習慣病看護学分野 教授

 


 

正論の板挟みに遭い、組織の硬直化にため息をついたことのない管理者はいないだろう。私は2011年から京都大学大学院で教授を務めているが、それ以前は京都大学医学部附属病院で副看護部長・看護部長を計6年間経験した。大きな組織のかじ取りを担う中で実感したのは、マニュアルや正論といった定規だけではかりきれない、人と人とが織りなす現場の奥深さと、それを整えることの難しさであった。そうした管理職としての私の長年の葛藤を、静かに言語化してくれたのが本書に収められた随筆「嘘の効用」である。

 

社会を回す“ゆとり”としての知恵

著者の末弘嚴太郎氏は、大正から昭和にかけて活躍した法学者である。本書で彼は、一般に悪とされる嘘が、実は法律や社会を円滑に動かすための重要な擬制(フィクション)や潤滑油として機能していることをユーモアたっぷりに論じている。

 

正直は美徳だが、実態に即さない厳格なルールを現場に強いれば、スタッフの自律性は失われ、結果として組織の活力を削ぐ。硬直した法律(ルール)と、変化し続ける複雑な人間社会。その間にあるギャップを埋めるためには、機械の「遊び」に相当する、適度な“ゆとり”が必要なのだ。

 

本書に出合ったのは、新装版が出版されたころであった★1。管理職時代から抱えていた後ろめたさの正体が解き明かされたように感じた。例えば、スタッフAがBの「言い方のきつさ」に悩み、一方でBはAの「仕事の雑さ」にいら立っているとする。管理者は両者の思いを受け止め、組織としての調和を保つために、対話を重ね、着地点を探る。こうした振る舞いは決して八方美人的な態度ではなく、相反する要素が絡み合う連立方程式を解くような、高度な知的作業なのである。

 

組織を救う「伸縮する尺度」

末弘氏が説く「規則的に伸縮する尺度」という考え方は、建前に縛られがちな組織を救う示唆に富む。医療現場において、安全を守るマニュアルは不可欠だが、それが現場の状況を無視した守れないルールの押しつけになってはいないだろうか。

 

末弘氏は「子どもに嘘つきが多いのは、親が頑迷な証拠」と述べている。これは、原因をスタッフ個人の資質に求めるのではなく、組織のルールの「硬さ」に目を向けてみようという、管理者への示唆に富んだ提言である。管理者の役割は、正論を振りかざすことではない。ルールやマニュアルという公平な尺度を持ちつつ、状況に応じて納得感のある“伸縮”をさせていくことだ。管理者が遊びを認め、現実的な解を見いだすその柔軟性が、スタッフが安心して誠実に働ける環境をつくる。

 

組織の壁に突き当たり、閉塞感を覚えたとき、ぜひこの古くて新しい名著を開いてほしい。そこには、しなやかに組織を導き、管理者をやさしく包んでくれる、自由で温かな知恵が詰まっている。

 

1 本書1980 年刊『末弘著作集Ⅳ』 底本とし、新装版として 2018 刊行された

 

→看護2026年3月号掲載

 

コミュニティケア冬号 寄稿

語りは重層的です。ある人のものがたりが語られるとき、記憶される経験が時を経て感じ方や考え方を変え、時にその人のものの見方を新たな視野へ、次の成長へと導いていきます。

 

嶋守 さやか しまもり さやか

桜花学園大学教育保育学部 教授

 

金城学院大学大学院文学研究科博士後期課程修了、社会学博士。著書に『孤独死の看取り』『虐待被害者という勿れ 虐待サバイバーという生き方』(新評論)などがある。2025年11月、研究テーマ「生ききるケアを生きる──よい訪問看護とは何か」を基に書き下ろした、『訪問看護ものがたり ご在宅の力』(同)を刊行。

 


 

看護とことば「ちょっと、やっぱり」

 

看護師たちの“語りの揺れ”

 

昨年の11月に『訪問看護師ものがたり ご在宅の力』を上梓しました。6人の訪問看護師へのインタビューをもとにしたこの書籍には、「人として生ききる」ことを最期まで諦めない人々に「沿う」ことで生まれた訪問看護師の語りが収録されています。社会学者として現象学的質的研究に取り組む私にとっては、一人の語り手によって語られる内容の順序や繰り返し、癖や言い淀みなどの“語りの揺れ”が、分析のための重要な手がかりとなります。それらを丁寧に追うことで、一人ひとりの看護師によって生きられる経験世界のかたちが見えてくるのです。

 

本稿では、そんなインタビューの中で、ある病棟の看護師が自身の看護についてどのように語ったのかを示したいと思います。その看護師をここではEさん(50歳代)と呼びましょう。彼女が過ごしてきた病棟での日常で何を目にし、どのように心に留め、自身の看護観に連動させていったのか。それを「ものがたり」、つまりEさんのナラティブ分析として描いていこうと思います。

 

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