看護と経営(5)

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*vol.1〜7(予定)は【解説編】、以降は【事例編】となります。

 


 

vol.5  解説編

経営層との共通認識をはかるための
経営指標の理解④

 

小野田 舞

おのだ・まい◉島根大学医学部看護学科・助教、東京医科大学医学部看護学科・講師を経て、2018年より現職。看護学博士。国際医療福祉大学大学院管理実践看護学(DNP)・非常勤講師。

 

 

今回は、前号に引き続き、財務分析の5つの視点のうち「成長性」「効率性」、さらに政策的な観点からも重要な「機能性」について解説します。

 

病院の財務分析:「成長性」の視点

 

成長性分析とは、病院がどのくらい業績を伸ばしているかを分析することです。しかし、病院経営は利益を追求することをめざしていないため、経営規模の拡大というよりも、安定した経営ができているかどうかという視点で把握することが重要です。

 

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医療安全トピックス vol.165

 

 

VOL.165

井上 純子

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故防止事業部 副部長

 

医療安全情報No.209
「中心静脈から投与すべき輸液の末梢静脈からの投与」について

 

今号は、公益財団法人日本医療機能評価機構で提供した「中心静脈から投与すべき輸液の末梢静脈からの投与(医療安全情報No.209)」と、医療事故情報収集等事業ホームページの医療安全情報について紹介します。

 

公益財団法人日本医療機能評価機構では、医療事故情報収集等事業(以下:本事業)を運営しており、医療安全推進のために報告書や医療安全などの情報を提供しています。

 

●高カロリー輸液や高濃度糖液の投与

患者に投与する輸液には、浸透圧比(生理食塩液に対する比)の異なる製品がさまざまあります。浸透圧比の高い高カロリー輸液や高濃度糖液の添付文書には、「中心静脈内に持続点滴輸液する」と記載されています。これは、高カロリー輸液や高濃度糖液を末梢静脈から投与すると血管への負担が大きく、血管痛や静脈炎を起こす可能性があるためです。

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医療行政なるほど塾

財務省が医療制度改革で考え方示す
診療報酬の地域別単価導入を提案

 

「社会保険旬報」編集部

 

 

財務省は、4月16日の財政制度等審議会財政制度分科会(十倉雅和分科会長)に、医療制度改革の考え方を示しました。診療所の偏在を是正するため、診療報酬の地域別単価を導入することや、費用対効果評価の結果を保険収載の可否の判断に用いることなどを提案しています。地域別単価導入に対しては、日本医師会の松本吉郎会長が反論しています。

 

●こども・高齢化をテーマに議論

 

4月16日の財政制度分科会は、「春の建議」の策定に向け「こども・高齢化」をテーマに議論。財務省は、少子化対策・医療・介護・年金を含め社会保障制度改革の考え方を説明しました。このうち、医療制度改革については、①質の高い医療の効率的な提供、②保険給付範囲の在り方の見直し、③高齢化・人口減少下での負担の公平化の3本柱で、改革項目を示しています。

 

「質の高い医療の効率的な提供」では、公的価格(診療報酬・薬価)の適正化、費用対効果評価、医師偏在対策、地域医療構想、経営情報の見える化などについて改革の方向性を示しています。

 

→続きは本誌で(看護2024年7月号)

 

GRAPH WHO西太平洋地域事務局への出向を終えて

 

日本看護協会 看護開発部

安西 恵梨子

 

 

2022年6月から2年間、日本看護協会より世界保健機関(以下:WHO)西太平洋地域事務局に出向した安西恵梨子さん。WHOにおける活動内容や自身の役割を振り返るとともに、実施した主な取り組みの成果などについて述べてもらいました。

 

日本看護協会(以下:本会)で看護師の業務や教育に関する政策提言などに携わった後、2022年6月から2年間、WHO西太平洋地域事務局(Western Pacific Regional Office:WPRO)に出向となった。この出向は、WPROに長らく看護を担当するポストがなく、看護に焦点を当てた活動が行われてこなかったため、出向者の派遣を通じて、この地域の看護のさらなる発展に寄与することを目的としていた。

 

わずか2年間でWHOという未知の世界で何ができるのか、不安ばかりが膨らんでのスタートだったが、多くの方々の協力を得て「保健医療人材」に埋もれていた「看護師」に焦点を当て、看護がWPROにおいても強化に取り組むべき重要な領域であることを示し、今後の看護に関する活動基盤を構築することができた。後述するNursing Officerとしての実績が評価され、WPROに正規の「Nursing Officer」のポストが創設されるに至った。

 

→続きは本誌で(看護2024年7月号)