スペシャリストの実践知

各分野のスペシャリストによる看護実践の過程から、困難事例への視点や日々の実践に役立つケア・コミュニケーションのポイント、スキルを学びます。

 

認知症

認知症に対する誤解・偏見に気づき

本人の意思に焦点を当てる

 

今月のスペシャリスト:田中 和子

 

 

突然、大声を出すようになった

脳血管性認知症のAさん

 

事例

Aさん/80代男性/要介護5

脳梗塞・脳血管性認知症

 

Aさんは妻と2人暮らし。5年前に右後頭葉脳梗塞を発症して左半身不全麻痺・左半盲となったが、身のまわりのことは自分でできていた。週1回のデイサービスを利用。1年前に左大脳散在性脳梗塞を起こして右半身不全麻痺・運動性失語となり、ほぼ寝たきりの状態となった。以降、排便コントロールの目的で訪問看護が導入された。

 

 

ある日、妻からAさんが大声を出すようになって困ると相談がありました。詳細を聞くと「このところの急な変化」であり、「夜間に多い」「表情が険しくなり、ベッド脇の壁を引っかくなどする」「昼間はいつもの表情になる」とのことでした。発症が急激で日内変動があり、興奮・多動であることから夜間せん妄が考えられました。

訪問診療医は抗精神病薬を処方し、看護師は環境を整えるとともに、せん妄の要因となる体調の異変を確認するためにフィジカルアセスメントを行いました。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2021年7月号)