怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。
相手の怒りのタイプ別による対応④
「外柔内剛タイプ」の場合
光前 麻由美●みつまえ まゆみ
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
アンガーマネジメントコンサルタント
独立行政法人国立病院機構神奈川病院 看護師
対人援助職であり、かつ「感情労働」を行う看護・介護職は、働く上で常に自分自身の感情をコントロールすることが不可欠です。そのため、相手に合わせた言葉や表情、態度で接することが求められます。本音はどうであれ、その場の状況に合わせて、時に自身の感情を誘発したり抑制したりしながら、相手の尊厳を守り真心のこもったサービスを提供する必要があります。“お客様”である利用者・家族と深くかかわる場面が多く、加えて多職種との連携などさまざまな価値観を持った人と接する場面も多いため、人間関係においてストレスを感じることが少なくないでしょう。
とはいえ、感情は人同士がかかわる上で切り離せないものの1つです。人には、喜び・怒り・悲しみなど多様な感情がありますが、その中でも、“怒り”は扱い方を間違うと人間関係を壊してしまいかねません。本連載では、自身の怒りの感情と上手に付き合えるようになることを目的として、さまざまなテクニックを紹介してきました。このアンガーマネジメントができるようになると、他人の怒りに振り回されずに済みます。
怒りのタイプは6つに分類できます。今回は「外柔内剛タイプ」の対応法を紹介しますので、他者理解に役立ててください。
普段の穏やかな雰囲気からは
想像できない頑固さに戸惑う
デイサービスで働く介護職歴2年目のAさんは、いつも穏やかで利用者の話に優しく耳を傾けるタイプ。一緒に働くスタッフからは「何か頼んでも嫌な顔をしないから、頼みやすくて助かる」と評判がよい一方で、段取りが悪いために1つひとつの仕事に時間がかかり、業務時間内に仕事が終わらないことがある。