訪問看護ステーションの経営戦略(5)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

SWOT分析をしてみよう

渡邉 尚之

 

 

経営戦略を立案する上でよく使われる手法に「SWOT分析」があります。SWOTとはStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとったもので、この4カテゴリーについて事業・組織などの内部環境・外部環境を分析する経営分析手法です。この結果を掛け合わせて(クロスさせて)検討する「クロス分析」との併用により、企業の限りある経営資源の現状分析や将来の事業構想に役立つフレームワーク(枠組み・構造)として活用することができます。今回はSWOT分析、次回はクロス分析について解説します。

 

SWOT分析の優れている点は、フレームワークがシンプルなため理解しやすく、かつその結果が視覚的にわかりやすいことです。自ステーションの強み・弱み、外部環境との関係性などを見える化したいと考える管理者には最適な方法だといえるでしょう。短時間で実施可能なため、ぜひチャレンジしてください。

 

 

SWOT分析の手法・手順

 

SWOT分析では、まず自ステーションの経営環境を内部環境・外部環境に区分して考えます。そして内部環境の強み・弱み、外部環境の機会(チャンス)・脅威(市場のリスク)をそれぞれ抽出します。さらにその結果を基にクロス分析することで経営戦略へのヒントを探ります。

 

内部環境とは自ステーションの人材や技術、経営能力、生産能力など経営資源のことです。それらを強みとなる要因・弱みとなる要因に分けて示します。一方で、外部環境とは業界動向や利用者のニーズといった、訪問看護ステーションを取り巻く全般的な環境です。経営に影響を与える要因のうち、自ステーションでは調整できないものと捉えるとわかりやすいでしょう。それらを、事業創出などの機会となる要因と経営上の脅威となる要因に分類します。

 

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2018年5月号)