地域ケアの今(32)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

「バリア」を「バリュー」に

文:上野まり

 

今年2月に、韓国・平昌でオリンピックが開催され、日本選手はこれまでにない活躍を見せ大いに盛り上がりました。スキーモーグルの原大智選手の銅メダル獲得から始まり、日本最多のメダル13個の獲得に至るまで、たくさんの感動をもらいました。3月にはパラリンピックが開催され、この原稿を書いている今はまだ大会の真最中で、旗手を務めた村岡桃佳選手がアルペンスキーで銀メダルを獲得したニュースが届いたばかりです。今後どのような結果が得られるのか楽しみです。

 

今回のオリンピックは92カ国・地域、参加選手約3000人、日本からは124人が出場し、17日間の日程で7競技102種目が実施されました。パラリンピックは、45カ国・地域、参加選手約670人、日本からは38人が出場し、10日間の日程で6競技80種目が行われます。比べると規模は大きく異なるため、テレビでパラリンピックのニュースを取り上げる頻度や時間が少ないのは仕方ないのかもしれません。

 

障がい児・者とのかかわり

 

私はこれまで、家庭・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学とさまざまな集団に属する中で、障害のある人とかかわる機会がどれだけあったのか、あらためて考えてみました。小学生のときに口唇口蓋裂の仲良しの友人がいました。彼女は幼少期に手術し、その後は不自由なく過ごしていたため、私も彼女を障がい者だと感じたことはありませんでした。それ以来、障がい者と密に接する機会はなく、看護師になって初めて、義足の人や脳性麻痺による身体障害のある人などにかかわるようになりました。また、息子たちが通う保育園で知的障害や身体障害のある子どもたちとの出会いもありましたが、接する機会は少なく、正直、その子どもたちと上手にコミュニケーションはとれませんでした。思い返すと、私的な生活の中では障がい者とのかかわりはほとんどありませんでした。

 

訪問看護は、在宅で療養する高齢者への看護の提供から始まった歴史があり、介護保険制度を利用する高齢者への対応が中心でしたが、近年では高齢の障がい者や難病等による身体障害のある人への対応も増えています。また、重度の障害を有する子どもへの支援も注目され始め、小児に特化した訪問看護ステーションも開設されています。さらに、医療的ケアを必要とする子どもたちへの支援や仕組みづくりを考える「永田町子ども未来会議」などが開催され、障害のある子どもにもっと目を向けようという社会的な動きもあります。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2018年5月号)