「京都式認知症ケアを考えるつどい」①

粉雪舞う京都で――「京都式認知症ケアを考えるつどい」開催

 

2012年2月12日、同志社大学の寒梅館にて「京都式認知症ケアを考えるつどい」が開かれました。

 

この「つどい」は、京都府立洛南病院・認知症疾患医療センターの森俊夫先生らを“呼びかけ人”として実現したものです。「ナーシング・トゥデイ」の「nt special1退院支援・退院調整」編集アドバイザーでお馴染みの、宇都宮宏子さんも呼びかけ人の一人です。

 

ちょうど2月号で「認知症」を特集したばかりの「ナーシング・トゥデイ」編集部。「京都式認知症ケアってなんだろう? 知りたいな」と思い、「つどい」を取材させていただきました。

 

この「つどい」は何を目的に、どのようにして立ち上がったのか。はじめにそのところについて、少し長いですが、開催ポスターに掲載されていたメッセージを全文掲載し、ご紹介します。

 

2025年問題。団塊世代の最後が75歳を迎える年であり、超高齢社会の到来を象徴する言葉でもあります。この2025年に向けて、誰もが住み慣れた地域で必要なケアを受けながら暮らすことのできる社会の構築が目指されています。京都では、こうした国の動きと連動して「京都式地域包括ケア」の構築が始まりました。いま京都が大きく動こうとしています。


この重要な局面を迎えるにあたり気になることは、認知症を生きる当事者の視点が置き去りにされていることです。2003年に来日したオーストラリアの認知症当事者、クリスティーンさんは「これまで私が見てきた資料は、すべてアルツハイマー病の介護者のために書かれ、出版されている。残念なことに、私たち、現実にアルツハイマー病を病む者が忘れられているように思えてならない」と指摘しました。それから9年の時を経た今、「京都式地域包括ケア」を考えるにあたり、彼女の指摘に応えられるような京都の認知症ケアを創出しなければなりません。

 

そのために、認知症に関心がある人であれば誰でも参加できる「つどい」を開催します。医師、看護、介護、家族、当事者、府民が、それぞれの垣根を越えて一同に会する場を創出し、多くの叡智を結集して京都式認知症ケアをデザインします。認知症を生きる人たちが疎外されないケアは、家族や医療介護従事者も疎外されないケアに他なりません。それは同時に京都府民が暮らしやすい社会を構築していく作業にもつながります。


2012年2月12日。寒梅館が熱気とエネルギーで満たされることで、京都の認知症ケアに新しい形が与えられていく瞬間に立ち会えることを期待します。寒梅館でお待ちしております。

 

当日の京都は、粉雪がぱらぱらと舞う寒空でした。それにもかからず、同志社大学の寒梅館には、1000人の参加者がつどい、会場は満杯。熱気とエネルギーに満ちあふれた“場”が実現しました。

 

②へつづく

 

その③

その④